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2025.05.19

【S耐2025シリーズ/初戦】エンジニア兼レーサーが今年こそ国内最大級レースの頂点へ

市販車ベースのマシンが参加する、日本最大級のカーレース「スーパー耐久シリーズ」(以下、『S耐』)。その2025シーズン開幕戦が3月22日・23日にもてぎで行われ、アウトソーシングテクノロジーがスポンサーになっているレーシングチーム『TEAM G/MOTION’』が「ST-4クラス」で出場した。ドライバーの一人・湊雅之は、OSTech豊田支店のエンジニアでもある。当日はマシンのアクシデントに見舞われ、多難なシーズン幕開けとなった。今回は、それでも「総合優勝を目指す」と意気込む湊を取材。今年のレースに賭ける決意を語ってもらった。

PROFILE

  • 湊 雅之(機電事業本部 東海エリア 豊田支店)
    ◆入社:2020年(中途)
    ◆趣味:自動車、モータースポーツ、ピアノ

初戦はトラブルが重なり無念のリタイア

2025年『S耐』初戦、お疲れさまでした。どのようなレースだったのか、振り返りをお願いします。

マシントラブルに悩まされました。今年はレースフォーマットが昨年と大きく変わり、私たちの「ST-4クラス」の第1戦は、2日間にわたって、それぞれ予選と決勝の2レースを走るダブルヘッダー。テスト走行は、今年初めてのドライブでしたが、昨年からマシンのアップデートを行っていることもあって、かなり良い感触でした。

しかし、1日目のレースは結果的にリタイアに終わってしまいました。チームメンバーの走行中に、エンジンや駆動系で不具合が発生。どうにか修復しましたが、私が出走した際は、突然、車内が煙で充満するアクシデントに直面しました。緊急ピットインをしたところ、原因はまたしても駆動系のトラブル。オイルが漏れていたのです。次のドライバーの時にも、同じトラブルが生じたため、「走行継続は不可能」と判断しました。

ダブルヘッダーの2日目はどうでしたか。

2日目も、決勝で試走を開始するタイミングにまたエンジン不調に陥ってしまいました。すぐに修理をして、スタート時までには直ったのですが、規定時間内にスターティンググリッドにつけなかったため、ピットレーンから出走する「ピットスタート」に。混走するほかのクラスのマシンがすべてスタートするのを待って、最後尾から出走する形となり、大きなハンデとなりました。

私がドライバーを務めた時も、コックピット周辺部品にトラブルが発生しました。走行時でも身体が不安定な状態で、3~4周ほど走ったところで、ピットインを余儀なくされました。修復のために20分ほど停止。それによって先行するマシンとの差は一段と広がってしまいました。今度はリタイアせず、なんとかフィニッシュはしましたが、出遅れを最後まで取り戻せず、不本意なレースとなりました。

テスト走行の時は調子が良かったにもかかわらず、本番でトラブルが発生した理由は何でしょうか。

不運が重なったことは確かです。ただ、本番に向けてマシンを仕上げていくうえで、トラブルへのリスク管理に関して、チームとしてもう少し慎重になるべきだったかもしれません。そのため、チームでは「いま一度、管理体制を見直そう」と気を引き締めているところです。

ただ、メカニックのメンバーには感謝しています。通常は、レースが終わった後に時間をかけてマシンを調整し、1ヵ月ほど先の次のレースに向けて準備をします。今回はダブルヘッダーのため、次レースまでの準備期間が一晩しかなく、メカニックのメンバーには非常に負担が大きかったと思います。それでも、時間の許す限り修理と調整で力を尽くしてくれましたから。

過酷なレース環境を想定し体力強化に取り組んだ

波乱のシーズン開幕でしたね。2024年度は最終戦で表彰台にのぼる結果を残した湊さんは、今シーズンへ向けて、どのような準備をしてきたのでしょう。

昨年は、熱中症に苦しんだレースもあったので、暑さに耐えられる身体作りに取り組みました。エンジニアとしての通常業務もかなり忙しいので、土日や平日の深夜の限られた時間にスポーツジムでトレーニング。また、岩盤浴に1~ 2時間ほど入りながら筋トレするなど、レースでの過酷な環境を想定して体力の強化に励んできました。レース中は、マシン内の温度が60~70℃になり、全身の筋肉を使って無酸素運動を行うような状態ですから。

ハードなトレーニングと、エンジニアとしての仕事とを両立させているのですね。レース活動の中で、湊さんが「エンジニアであること」が役に立つことはありますか。

ほかのドライバーより少し高い解像度で、マシンの状態を分析できるところでしょうか。私が参加している『S耐』は、改造した市販車が参加するレース。そのため、自動車メーカーにとっては「市販車の新開発・アップグレードの実験場」という側面があります。ですから、トラブルが発生した時、シリーズに参戦している自動車メーカーのエンジニアが、私たちと一緒にマシンの状態をチェックしてくれたりします。私自身がエンジニアで、彼らの共通言語を理解できるので、その際に交わされる技術的なやり取りから、正確に状況を判断しやすいところはありますね。

また、『TEAM G/MOTION’』のマシン作りの場でも、私がエンジニア目線でコメントすることが役に立っているかもしれません。例えば、自動車の外装に用いるエアロパーツについて、「ここにもう少し穴を開けたら、ストレートスピードが速くなるのでは」と提案したりしています。

今シーズンは何としても結果を残します

エンジニアとカーレーサーの“二刀流”である湊さんならではのエピソードですね。さて、本記事は、5月30日~6月1日に富士スピードウェイで行われる「24時間レース」前に掲載されます。意気込みを聞かせてください。

まずは、マシンがトラブルなく完走できる状態に仕上がってくれることを願うばかりです。特に、24時間レースは本当に予測不可能なことが起きるもの。アクシデントのためにリタイアするマシンも多い。視点を変えると、「完走すれば結果は自ずとついてくる」というレースでもある。一方で、走行距離の長い24時間レースに配分されるシリーズポイントは大きいため、このレースを落とすことは、実質的にシリーズチャンピオン争いからの脱落を意味します。ですから、まずは何があっても完走しなくてはいけません。

戦略的には、24時間レースではいつものレース以上に燃費に気をつける必要があります。そのため、エンジンの回転数を絞ったり、直線ではアクセルを踏まずに惰性で走行させたりといった対策が考えられます。こうした燃費対策をしながら、かつラップタイムを維持するための走り方を研究して挑むことになりますね。先日行われた事前テストでは、様々なセットアップの確認やアップデートパーツのテストなどを実施しました。テストの結果、確実にマシンは速くなってきていますので24時間レース本番が楽しみです!

最後に、湊さんを応援するOSTechの皆さんへメッセージをお願いします。

いつも多くの皆さんに応援いただき、本当にありがとうございます。昨年は残念ながら1戦リタイア、1戦欠場となり、シリーズポイントランキング争いに入り込めないまま、シーズンを終えました。今シーズンは、初戦でこそつまずきましたが、表彰台に複数回、立ちたいと思いますし、あくまでも総合優勝を目指します。まずは、ビックポイントを狙える24時間レースで良い成績を残して、第1戦のマイナスを取り返していきたいと思っています。

OSTechには、今シーズンも『TEAM G/MOTION’』とのスポンサー契約を更新してもらいました。今後もスポンサー企業に協賛してもらって、レース活動を継続していくため、「完走できればいい」、「表彰台に立てればいい」という甘い気持ちではなく、「何としても結果を残す」という想いで挑んでいます。昨年よりも良い結果を出したいと思いますので、引き続き、応援をよろしくお願いします!

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