Blog
|
2023.07.03
Category
Tag
Blog
|
2023.07.03
社内報でも、もうお馴染みとなったOSTech公式鳥人間コンテストチーム「Flower’s factory(フロワーズ ファクトリー)」が書類審査を通過し、第45回鳥人間コンテスト2023への出場が決定しました!
昨年は審査が通らずに、悔しい思いでこの1年を過ごしてきました。今年はその思いを胸に、機体設計、性能、部品製造の緻密さ、あらゆる部分をグレードアップさせて記録が狙える!!というレベルまで到達しています。
そこでOSTech ONLINE MAGAZINEでは、7月30日の大会本番へ向けた鳥人間コンテスト応援企画を掲載します。これまでどんな活動をしてきたのか、天候不順やコロナなど、数々の受難の歴史、チームの普段の活動など、メンバーが紹介します。
今回は第三弾として、全国にエンジニアがいるOSTechならではの製作方法「分割製作」について、苦労話など、尼崎作業場から離れた場所で活動しているメンバーに話を聞きました。
関連記事
https://www.ostech-online-magazine.com/blog/20230612_1/
https://www.ostech-online-magazine.com/blog/20230626_1/
https://www.ostech-online-magazine.com/tag/ostech公式鳥人間コンテストチーム/
柳生 武広さん(機電事業本部 プロダクト開発課)
入社:2013年/中途入社
福澤 浩史さん(機電事業本部 プロダクト開発課)
入社:2017年/中途入社
福井 善亮さん(I Tエンジニアリング事業本部 札幌システム課)
入社:2006年/中途入社
柳生さん
プロダクト開発課に所属し、大手自動車メーカーの開発センターで管理者をしています。社内的にはセクションリーダー(以下、SL)を務めています。チームには、SL会議で参加者を募っていたのがきっかけで初年度から参加しました。その時に、プロダクト開発課のメンバーにも一緒に参加しないかと声を掛けたのを覚えています。今は関東の製作作業の責任者として活動しています。関東での作業は厚木支店をお借りし、厚木支店、本社、横浜支店、プロダクトのメンバーが活動しています。
福澤さん
私も柳生さんと同じプロダクト開発課。普段は大手自動車メーカーの現場で内装や外装実験を担当しています。チームには柳生さんに声をかけてもらって参加したこともあって、柳生さんのサポート的な役割として参加しています。
福井さん
私は札幌システム課でLSI(大規模集積回路)の設計に携わっています。柳生さんと同じくSL会議でチームの立ち上げを知り、当時の札幌支店メンバー数名と初年度から参加しています。柳生さん、福澤さんとはチャットではやり取りしていますが、顔を見て話すのは久しぶりです。
福井さん
コンテストに参加する他の多くのチームでは、製作した機体をトラックでの運搬用にいくつかに分解し、再度組み立てます。反対にFlower’s factoryでは、全国の作業場で分担して機体のパーツを製作し、大会当日の琵琶湖畔で組み立てる分割製作方式。札幌では、2年目以降、尾翼のリブ製作(翼のパーツ)を行っています。リブ製作はスタイロフォームに図面を張り付けて、その型通りに切り出す作業です。2022年はリブの図面も札幌で作成しました。本番前にテストは行いますが、それぞれの作業場で均一した精度のパーツを作り上げる難しさがありますね。
柳生さん
関東の作業場では、初年度は機体に取り付けたギミックの『A Iロボット山田君』の離脱装置や防水対策、次年度は機体を運搬するためのラック製作を担当し、なかなか機体そのものに携わることができませんでした。もちろん、機体製作がすべてではないのはわかっていますが、『関東でも機体の製作にも関わりたいんだよねぇ~』って言っていたら、福井さんが交渉してくれました。
福井さん
尾翼のリブを作っていたという経緯もあって、札幌の作業場に主翼のリブ製作も追加依頼があった。でも、メンバー工数やスケジュールを考えると無理がかかる。主翼のリブ製作は、関東にお願いしちゃいました。
柳生さん
福井さんが交渉してくれて、翼の製作に関われました! 尼崎の作業所で福澤さんと修業し、そこで教わったことを活かして作業しています。自分たちも技術者としてクオリティと作業効率には力を入れました。
福澤さん
主翼・尾翼の翼の形を構成している部分を「リブ」といいますが、低発泡のポリスチレン素材の板を流線型に100枚以上も加工し、出来たものを尼崎のチームがフレームにはめ込んでいきます。リブには、主翼の中心骨格となる桁を通すための丸い穴を開けますが、誤差1mmとか0.5mm以下の精度が求められます。穴の角度も重要で、少しでも曲がってしまうと最終的に翼の精度にかかわるので、部位ごとの直径に合わせてきっちり真円になるように、誰がやっても直角に削れるように専用の道具から製作しました。
福井さん
札幌では、最初はカッターと直角定規を使用していたのが、2年目からはドリル、桁と同じサイズの棒にやすりを巻くなど、道具も進化してはいました。
柳生さん
「どうしたらきっちり90度に切り出せるかな?」と、関東のメンバーで話をしていたら、新人の森くんが道具を考えてきてくれた。普段、ゼロからものを作る経験がなかなかできないので、若手であっても関係なく提案ができる貴重な機会になっていますね。できたパーツも「もっと良くできるんじゃないか?」という目で見てくれている。メンバーみんな、エンジニアだなと感じます。
福井さん
そうしてでき上がったパーツを見比べたときに、関東で製作したものが高評価で。ちょっと羨ましくてやり直しました。
福澤さん
森くんが考案してくれた電熱線カッターはリブを直角に切断できる様に工夫された完璧な物でした。また桁穴の研磨のために自分が考えた道具は「穴太郎」と命名されています(笑)。
福井さん
札幌で開発して命名されたものもあります!
遠隔地で製作しているので、できたパーツは尼崎の作業場へ送付するのが基本。でも担当している尾翼のリブは小さいこともあって、少し何かにぶつかっても、ぶつかると破損してしまいます。そこで考案されたのが送付用のキット「お魚BOX」(笑)。
竹串で止めて接触箇所を最小限にしているのがポイントです。
福澤さん
例えば翼を収納するラックの製作をしている時でも、どの方向で収納するのがわからずちょっとした確認でもすぐできない。どうなんだろう??って迷ったときに手が止まってしまうというデメリットがあります。機体チームに確認することも大事ですが、部分的には自分や関東のメンバーで考えるという余地にもなっていました。一人ひとりのエンジニアが創意工夫した結果が、形になって目に見えるのでやり甲斐もありますね。
柳生さん
ホームセンターでラックの材料を購入する際、大きなものだと車に積めずお店にカットしてもらう必要があってその度に工賃が発生するものもあります。どう組み合わせたらカットが少なくなるのか、数学的なことも考えながら設計。一度割りばしで1/10サイズのミニチュアを作り、強度やムダの少ない材料取りの方法を確認しました。これも工夫のうちのひとつですよね。
福井さん
図面通りに製作すればいいので、困ることはほとんどないんですけど、クオリティの統一は難しいですね。直接ものを見て話ができない難しさ、寂しさを感じます。ただ、札幌には札幌の、関東には関東のメンバーだからこその化学反応がある。それぞれの作業場で競い合った結果が治具や送付用ボックスに繋がっています。
福澤さん
ガラパゴス的というのでしょうか、別々の場所で活動しているとお互いに知らないところで工夫をしていて、それを持ち寄った時にびっくりするようなこともあっておもしろいと思いました。
福澤さん
子どものころにテレビで見ていた鳥人間コンテストが、今、手が届く位置にあります。飛び立つその瞬間までワクワクする、想像もつかないストーリーが待っています。応援したいって気持ちで見てくれるとうれしいです。
福井さん
今年のパイロットは、自分たちと同じく初年度から参加している和泉さんになりました。機体のクオリティも高いので今年は記録が出ると思います。応援よろしくお願いします。
柳生さん
機体製作はハードル高いって感じるかもしれませんが、ホームセンターで購入できるようなものを使用して製作しています。経験のなかった人も含め、同じ会社の社員が工夫をしながら頑張っています。自分たちの仲間が参加しているんだという気持ちを持ってくれるとうれしいです。そして、少しでも興味があったらぜひ製作作業にも加わってください。参加してみないとわからないことがあります。参加することで新しい自分が発見できるかもしれません。
【鳥人間コンテスト2023 開催概要】
開催日:7月29日(土)、30日(日)※Flower’s factoryの出場は7/30(日)午前中の予定(天候や大会進行により、日時は変更になる場合があります)
会場:松原水泳場(滋賀県 琵琶湖)
鳥人間コンテスト公式サイト:https://www.ytv.co.jp/birdman/
OSTech公式チーム「Flower’s factory」事務局では、ご意見やご質問、チームへの参加をメールで受け付けています。
所属拠点と氏名を明記の上、下記までご連絡ください。
Flower’s factory(フロワーズ ファクトリー)事務局
E-mail : f-factory@ostechnology.co.jp