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2024.03.11

【ジョカツ企画/連載ドキュメント】 OSTech女子のリアル (第2話・社会人スタート編)

国内トップクラスのエンジニア在籍数を誇るアウトソーシングテクノロジー。メンバーの一人ひとりに、夢があり、キャリアプランがあり、ライフスタイルがある。そこでオンラインマガジンでは、等身大のOSTechメンバーにスポットを当てる新企画をスタート。活躍中のエンジニアの男女1名ずつに登場してもらい、学生時代から現在に至るまで、仕事やプライベートでのストーリーをドキュメンタリー形式でお伝えする。今回は、女性編。「就活編」「社会人スタート編」「活躍エンジニア編」の3部作の第2話は、OSTech 入社後、一人前のエンジニアになるべく奮闘する物語をお届けする。

PROFILE

  • チノ(エンジニア/新卒入社)

【前回までのあらすじ】
大学で化学を専攻していたリケジョのチノ。「色々な現場を経験しながら、じっくり自分に合う仕事が探せる」ことが魅力で、OSTechに入社。東京から地方都市に引っ越し、彼氏と遠距離恋愛になってしまったが、配属が決まった半導体製造工場の現場でエンジニアとしてのスタートを切った。

Episode 4 試練

いよいよエンジニアとして仕事を始める時がきた。待ちに待った瞬間だ。チノが携わる仕事は、CVD装置の不具合を解消すること。
CVDはChemical Vapor Depositionの略で、薄膜材料を構成する元素のガスをウェハ上に供給し、化学反応によって薄膜を形成させる装置。
工場側からの「CVD装置に不具合が発生しています」という報告を受け付け、その原因を分析して対処方法を工場側に伝えるのがチノの役目。

「大学で学んだ化学知識を活かせば、早く専門スキルを身につけて、職場の方々やお客様にも認めてもらえるかも…」。そんな淡い期待を胸に、働き始めた。

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ところが、待っていたのは予想もしない展開だった。CVD装置の不具合を解消するチームのメンバーは、男性エンジニアの上司と、チノのふたりだけ。上司はチノよりも10歳年上で、一見、職人気質な印象を持った。
その上、忙しそうにしていて、いつも声をかけるタイミングを失ってしまう。
早々に、「上司に懇切丁寧に教えてもらう」とか「上司を質問攻めにして知識を得る」のは難しいと判断。
そこで考えた作戦は、上司と工場側との打ち合わせの会議に、議事録担当として同席させてもらうことだった。会議中、飛び交っている専門用語をメモし、必死に調べることで、知識を増やしていった。

最初はCVD装置に不具合が起きても、その原因についてまったく見当がつかなかった。それでも、業務スタートから半年くらいの間に、さまざまな不具合の事例を経験したことで頭の中で少しずつパターン化できるように。
“会議の議事録担当”を務めたことで、専門知識も増えていった。
「このパターンの不具合は、たぶんこれが原因かな?」と、ある程度の見当はつくようになった。

もっとも、“上司との人間関係”は、機械相手のようにはいかない。
上司は、部下の面倒見がいいタイプではないが、工場側のメンバーは誰もが絶大な信頼を寄せている。エンジニアとしての腕は確かであることは間違いない。
その上司に認めてもらえたら、「私は一人前のエンジニアだ」と胸を張ることができるだろう。そう自分に言い聞かせ、無我夢中で仕事に取り組んだ。

Episode 5 転機

配属から1年を迎えようとしていたころのこと。
上司から、「チノ君、不具合を修正したデータを作成しておいて」という指示を受けた。

CVD装置に精通する上司にしか、できない仕事だと思っていたから、とても驚いた。
最初は「忙しいから手が回らず、“猫の手も借りたい”ということかな?」と疑ったが、その後、どんどん上司が携わっていた仕事を任せてもらえるようになって、ようやく理解した。

信頼してもらえたんだ、エンジニアとしての私を。
仕事を任せることで、信頼を示すのがこの上司流なんだ。

何よりもうれしかったのは、工場側に不具合の改善方法をプレゼンする役割を任されたこと。当然、説明するためには、CVD装置をしっかりと理解していなければいけない。「もう、プレゼンができるレベルに達している」と、認めてくれた証しだ。「期待に応えたい!」と思い、とにかく仕事に没頭した。

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帰宅すると、ドサッとベッドに倒れ込むだけの毎日。
そんな生活を送っていたせいか、大学時代から付き合っていた彼氏とはすれ違ってばかりだった。物理的な距離が心理的な距離にもなっていくのに、時間は掛からない。
「このままズルズル付き合っていても、お互いプラスにならないよね」。
別れを告げるのさえ、対面ではなかった。彼氏の前では強がって見せたものの、誰にも頼らずに生きていけるのだろうか。

Episode 6 成長

心に穴が開いたままだが、仕事は忙しくなる一方だった。
でも、仕事に集中したお陰で、ネガティブなことを考えずに過ごせた。

仕事でもプライベートでもひとつの波を超えたことによって、この頃から自分から積極的に人とコミュニケーションを取ることを意識するようになった。エンジニアとして単に技術を磨くだけではなく、人と信頼関係を築かなければ。そうしていくうちに、工場側の担当者から相談を受けることが増えていった。

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入社から2年が過ぎたころには、CVD措置のトラブルについて、不具合の原因特定から解消策の提案、そして稼働再開の指示まで担当できるようになっていた。

そして自分に自信をつけるため、OSTechの資格支援制度を活用して「半導体製品製造技能検定」にも挑戦、見事に合格した。資格を取得したことで、半導体製造の工程全体がわかるようになり、給料もアップ。上司は相変わらず、ぶっきらぼうだったが、以前に比べてハイレベルな仕事を任せてくれている。
だから、成長していることに間違いはないだろう。そう自分に言い聞かせていた。

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それから1年後、担当営業から「チノさん、そろそろ現場を移りませんか?」という提案を受けた。詳しく説明を聞くと、現在のお客様と同じグループに属する企業で、半導体、液晶、金属などを対象に、ナノレベルの微細加工・分析・解析・信頼性評価・環境安全化学分析を行うという現場だ。

これまでのCVD装置の運用・管理の経験を活かせる上に、仕事の幅は大きく広がる。今まで以上にスキルアップが狙える。
そう思い、チノは二つ返事で異動を承諾した。

(第3話・活躍エンジニア編に続く)
https://www.ostech-online-magazine.com/blog/20240318_1/

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