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2021.09.13

【大会出場レポート フライト編】鳥人間コンテスト2021!2年ぶりの熱い戦いの結果は…

準備編https://www.ostech-online-magazine.com/blog/20210913_01/)からの続き…
先日開催された「第43回鳥人間コンテスト2021」。出場したOSTech公式チーム「Flower’s factory」の大会当日はどんな模様だったのか、準備編とフライト編の2部構成の完結編です!

炎天下のもと、大会本番!

大会当日朝5時。ホテル前に集合したメンバーは検温などの感染対策後、各車へ乗り込み、会場へ向かいます。大会開始は午前7時。Flower’s factoryのフライトは9番目の予定でしたが、前日の審査の結果、2チームが不参加(審査未達)となったので7番目へと変更されました。「時間がない!」 急ピッチで最終調整を進めます。

2021年度の機体主翼はなんと23m!

朝の天気はうす曇り。これから炎天下になることは間違いないと判断したチーム製作主幹と設計主幹は、機体の最終調整を「高温多湿対応型」へと変更します。急激な気温上昇は、翼内の空気を膨張させ翼の形状を歪ませてしまいます。無観客開催となった今回の大会では、現地参加できるメンバー数も最小限。全員で最終調整を急ぎ、機体をフライト待機へ移行します。

写真右に写っているのは、砂浜から突き出る「桟橋」と呼ばれる約3m幅の水上の道。150mも続くこの桟橋の先には、全高10mのプラットホームがあります。そこは、全てのバードマンたちの憧れの場所。昨年、ここから飛ぶことのできなかった機体にかけた思い、昨年10月から準備してきた今の機体への思い。近づくにつれ、肩にかかる重みが準備期間を思い出させます。

一歩一歩、プラットホームへ

「ここまで来たらもう、敵は他チームではない。自分との戦い。そして敵は自然です!」製作主幹が語っていました。Flower’s factoryは、初挑戦の2018年度から「書類審査」は合格してきましたが、天候やコロナ禍などの影響で、正常なフライトを経験したことがありません。4回目の挑戦にして初めて「快晴のプラットホーム」を経験することができました。地上10mにある鉄製やぐらの上はとにかく「アツい」。もう、「暑い」ではなく、機体も含め全てが「熱い」!!

いよいよフライト!・・・のはずが、トラブル発生

「登録番号 F89 チーム フロワーズファクトリー スタンバイをお願いします!」
場内アナウンスが響きます。風の方向と強さをよんで、代表が機体の向きを指示し、指揮者が機体を動かします。これまでに経験したことのない、最高の向かい風!!
しかし、ここに来てトラブルが発生しました。ARゴーグルが起動しません…。

ヘルメット付きARゴーグル

Flower’s factoryのアピールポイントのひとつに、パイロットの飛行をサポートする最新技術を搭載するというコンセプトがあります。今年度はARゴーグルを採用。パイロットの視界を遮ることなく、機体高度や傾きなどの情報をサングラス内のホロレンズに投影して飛行をアシストする。同時に、その映像をネットで観覧席にいる仲間にも共有する。この最新技術は、プログラムの製作から何度も検証や実験を重ね、2年越しで実現させた自信作でした。しかし、それが全く起動しない。パニックになる担当者と心配するメンバーたち。
ルール上はスタンバイ後15分以内でテイクオフとなるのですが、テレビ局側も「このゴーグルの映像はテレビ的にも欲しいので、再起動させて動くなら待ちますよ」と言ってもらえましたが、40分が経過し完全にタイムオーバーとなってしまいました。灼熱のプラットホームでパイロットの体力は低下。「ARゴーグルを起動させずに飛びます!」チーム代表が最終判断をしました。

「機体スタンバイ。機体保持者以外は滑空位置から離れて下さい!」
「パイロットはコックピットへスタンバイ!」もう一度、風速計を確認し、チーム代表も後ろへ下がります。ここから先は、パイロットのタイミングに任せるしかありません。天候に恵まれた、初めてのプラットホーム。湖上10mの滑走路に全員が集中し、緊張が走ります。
「サン、二ー、イチ、GOー!」見事な走り出しで、パイロットと機体両翼、そして尾翼を支える4名の足並みは練習以上の最高のステップを踏んでいます。そして、テイクオフ!

機体はテイクオフと同時に、巡航速度を上げるために湖上3mくらいまで急降下します。そのときに「地面効果」と言われる重力に反発する力が発生し、機体に浮く力である「揚力」が発生します。その瞬間が勝負!! 見事な角度でスピードを上げる機体コックピットの中で、パイロットは体重を掛けて機体重心を後ろにして、機体を上昇させます。しかし…

「あれ?浮かない?」

機体は上昇しきれずに湖面へと着水してしまいました。
ARゴーグルがブラックアウトして視界を失い、長時間の待機で体力を失っていたパイロットは体勢を整える間もなく力尽きてしまったのです。記録は「46m」。惨敗でした。

パイロットの蔡さん。お疲れさまでした!

2021メンバーたちの早すぎる夏の終わり

こうして、「Flower’s factory」メンバーたちの2021年夏は終わりを迎えました。
「世界記録を出したとしても所詮は1分の飛行」。それでも、その1分のために約半年間の全ての休日を費やし、全国にいるメンバー全員が一丸となって挑戦しているのが、OSTech公式チームFlower’s factory です。

大会の翌週には、着水しても破損すらしていない綺麗な機体を全て解体します。そして、作業場を掃除してから今年度のチームは一旦「解散」します。これは、メンバーの誰か個人に負担が掛かり、通常業務に支障をきたさないために考えられたチームのルールです。
「できる者が、できるときに、できるだけ製作し、チームワークが機体を完成させる」。
悔しい想いも沢山ありますが、コロナ禍ということもあり食事会などは一切ありません。いつも通りの「お疲れさまです!」と声をかけて、メンバーは帰路につきました。

そして…また冬が近づいてくると、新生「Flower’s factory2022」のメンバーが集まり出します。来年はどんなメンバーが揃って、どんな機体が製作されるのか。また、社内報でご紹介したいと思います。

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