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2022.01.31

【スマートロボティクス社・役員対談】「現場で使えるモノ」へのこだわりが、コロナを防ぐ除菌ロボットを生んだ

PROFILE

  • 井島 剛志(株式会社スマートロボティクス 取締役COO)

  • 服部 秀男(株式会社スマートロボティクス 取締役CTO)

自律走行で動き回るロボットが、室内に紫外線を照射して除菌 していく──。新型コロナウイルス対策として、多くの医療機関   などで大活躍している『殺菌灯搭載ロボットSR-UVC』。アウトソーシングテクノロジーのグループ会社であるスマートロボティクスが開発し、世に送り出したロボットだ。「ヒトへの感染リスクなしに建物内の除菌 ができる」として、大きな話題になった。今回は、スマートロボティクスCOOの井島剛志と、CTOの服部秀男による対談を企画。画期的な除菌 ロボットの誕生秘話や、OSTechグループだからこそ実現できることなどについて、語り合ってもらった。
※取材は、マスク着用・手指消毒等の感染対策を徹底した上で行いました。

医療関係者からの“切なる声”に応えた

最初に、今、話題の『殺菌灯搭載ロボットSR-UVC』について紹介してください。

服部 このロボットは、ウイルスが存在しているリスクのある室内を動き回り、左右180度の範囲や床面に紫外線を照射して、除菌 するもの。狭い場所での移動を可能にしたコンパクトな設計で、家庭用お掃除ロボットのような自律走行も、ドローンのような遠隔操作も、どちらも可能です。

井島 病院や宿泊施設など でご利用いただいていて、最近では、商業施設やイベント会場など、人の出入りが多い施設からもご用命をいただいています。普及のきっかけは、2020年6月、「新型コロナウイルス 感染症神奈川県対策本部」のご協力のもと、コロナ患者の宿泊療養施設で、実際にこのロボットを稼働させる実証実験を行ったこと。公共機関が関与する実験で「問題なく稼働する」というエビデンスが得られたことで、全国の病院に普及していったのです。

世の中に必要とされたタイミングで、リリースできたのはすごいですね。開発の経緯を教えてください。

服部 もともと、さまざまなお客様向けにロボットを開発する過程で、ベースとなる自律走行ロボットや遠隔操作のための要素技術を開発済みだったのです。コロナ禍が発生したとき、「私たちもコロナ対策に何か貢献できないか」と模索するなかで、これまで開発してきた技術を活用して『テレワークロボット』としてリリースすることにしたのです。

これは、LTEによる通信機能とカメラやオーディオを備えていて、遠隔操作でオフィス内を動き回れるロボット。外部から無人のオフィス内を見回ったり、オフィスにいる社員と会話したり、という使い方ができます。もともとの物品搬送機能を活かして、社内や工場などで書類や材料の受け渡しをするとき、ロボットに運んでもらうことも可能。ヒト同士の接触を減らすことができるのです。

井島 このロボットをリリースした直後、医療関係者の方から「建物内を消毒できる機能を搭載できないか」というご相談をいただいた。そこで、紫外線を照射する装置を搭載した『殺菌灯搭載ロボットSR-UVC』として、世に送り出すことになりました。

“エンジニアの美意識”よりも“使い勝手”を優先する

市場のニーズに合わせて、既存のプロダクトを改良していくかたちで誕生したロボットだったのですね。

服部 その通りです。スマートロボティクスには、「私たちはロボットを作りたいわけではない。現場の困りごとを解決したいのだ。その解決策としてロボットを提供していく」という方針があります。現場のリアルな声を集め、「必要とされている機能」を発揮できるように改良を重ねていくことで、「現場で使ってもらえるロボット」を提供してきたのです。

『殺菌灯搭載ロボットSR-UVC』についても、リリース後、何度か改良を加えています。例えば、人がロボットを手押しで移動させられるように、ハンドルを付けました。安全性を考慮して、ロボットの自走速度を抑えているので、作業 を終えたロボットを片付けるのに、自走では時間がかかる。「人力で押していくのに便利なようにして欲しい」というユーザーの方の声にお応えしたのです。

井島 せっかく自律走行や遠隔操作が可能なロボットを作ったのだから、人が押していくためのハンドルを付けるなんて、“エンジニアの美意識”には反するかもしれませんね(笑)。でも、私たちにとっては当然のこと。現場で使っていただかなければ意味がないのですから。

また、『殺菌灯搭載ロボットSR-UVC』は、遠隔操作用のソフトウェアを搭載しているため、ソフトのアップデートも遠隔でできるようになっています。お客様から定額のご利用料金をいただく、SaaS※1のようなビジネスモデルなので、ソフト面の改良ならすぐにできます。「売り切り」のビジネスモデルだと、市場が求めるスピードに開発が追いつかないケースが多い。その点でも、当社は「現場のご要望」をタイムリーに反映しやすいのです。

※1 クラウド上のソフトウェアを、インターネットを経由して利用するサービス

要素技術の蓄積が資産

よく分かりました。ただ、市場の要望にタイムリーに応えていくためには、技術力も必要ですよね。

本社近くのラボには、過去のロボットや開発中のロボットが所狭しと置かれている
服部 はい。その点、スマートロボティクスは20163月の設立以来、ロボットに関するさまざまな要素技術を開発し、蓄積してきました。ですから、新しい機能を付加したロボットを開発するときのスピードが非常に速いのが強み。「自動車を作るのに、車輪をゼロから再発明する必要はない」ということ。プロジェクトごとにお客様からいただいた課題を解決していくなかで、新しい技術の開発に果敢に挑戦し、要素技術を蓄えてきたことが資産になっています。

井島 難易度の高いご要望をいただくこともありましたが、お客様と一緒に解決策を考えていくことで、物理的に解決できる問題なら、大半のことは実現してきたと自負しています。

他にも、農場向けにトマトの収穫作業を行うロボットの開発にも携わりました。そうしたプロジェクトで獲得した技術が、『殺菌灯搭載ロボットSR-UVC』にも活かされています。

活躍しているのは好奇心旺盛なエンジニア

難題に果敢に取り組むことで、技術力を磨いてきたわけですね。では次に、最先端ロボットの開発現場では、どんなエンジニアが活躍しているのか、教えてください。

服部 「自分から学ぶ姿勢」を持っている人ですね。テクノロジーの進化は日進月歩。先を見通して自分から学んでいくぐらいの姿勢を持たなければいけませんから。最新の技術にアンテナを張っておく必要があるし、常日頃から勉強する姿勢が欠かせません。

井島 大前提として、モノづくりが好きであること。好きであれば、服部さんが話した「勉強」というのも、「仕事のために、やむを得ず学ぶ」というより、「好きなことだから、ちょっと調べてみる」という感覚になるでしょう。ですから、スマートロボティクスでは、枠にとらわれず、好奇心旺盛なエンジニアの「やってみたい」という心を大事にしています。ロボット開発にはハードウェアの知識もソフトウェアの知識も必要。「自分はハードが専門だから、ソフトは知らない」と、自分で自分に枠をはめてしまっている人は、活躍するのが難しいと思います。

むしろ、自分から枠を飛び越え、全体像を掴もうとする方が活躍しています。例えば、第二新卒で当社にジョインしてくれた若手エンジニア。大手メーカーに新卒で入社し、ロボット開発の現場に配属されたのですが、大手だけに業務が細分化されていたそうです。「もっと全体的に関わりたい」ということで、当社へ転職。スマートロボティクスでは、入社当初から全体に関わってもらったところ、今では開発の中心的な存在に。プロジェクトで、問題になりそうな点を先回りして挙げてくれて、その問題の解決に必要なことを自分から進んで提案してくれる、頼もしいエンジニアに成長してくれました。

事務所スペースの横には、3Dプリンターや旋盤のための機械、工具があり、試作品の制作がすぐにできるようになっている

全国にいるOSTechのエンジニアがサポート

若手が活躍できる環境があるのですね! では、お二人が最先端ロボット開発の最前線で活躍するようになった経緯を聞かせてください。

服部 私は小さなころからモノづくりが好きで、大学時代にはロボットの世界大会に出場したりしていました。起業にも関心があったので、卒業後は、自分で会社を立ち上げて、メーカーさんのロボット開発プロジェクトに参画。でも、「自社製品として開発したい」という想いが募って。知人からお声掛けいただいたのをきっかけに、スマートロボティクスにジョインすることになりました。

井島 私はエンジニアというより、ビジネス寄りの経歴です。OSTechと同じビジネスモデルの会社で営業をしていたこともあります。その後、ご縁があって、スマートロボティクスに創業時から関わりました。当初は、一般向けのコミュニケーションロボットの開発をしていたのですが、「ビジネスとして成り立たせるのは厳しい」と判断し、業務用ロボットの開発に切り替えることに。その事業戦略のピボットが成功し、加えて服部さんのような優秀なエンジニアが参画してくれたことから、会社を成長軌道に乗せることができ、業績が順調に伸びていったのです。

なるほど。その後、スマートロボティクスは2020年、OSTechのグループにジョインしました。どんなことを期待したのでしょう。

井島 大きなポイントとしては資本力ですね。会社を飛躍させるために「次に何が必要か」を考えたとき、特に課題だと感じたのがキャッシュフロー。大きな開発案件を進めるためには、キャッシュフローが上手く回っている必要がありますから。 

服部 ほかにも、OSTechが全国に拠点を持ち、それぞれにエンジニアがいる強みがあります。私たちが自社製のロボットを全国に販売していくとき、テクニカルサポートが必要になる。私たち単独でそれに対応できる人員を配置するのは難しいですが、OSTechグループならそれが可能。おかげで、テクニカルサポートやメンテナンスの面で、お客様に対して、手厚いサービスを提供することができています。

ありがとうございます。最後に、会社としての今後の成長戦略・ビジョンを教えてください。

井島 スマートロボティクスは、自社プロダクトの開発と受託開発の2つを行っています。そのなかでも今後、大きく成長していくために、自社プロダクトの方に力を入れていきます。特に物流や建設など、人力をロボットに代替する余地の大きいマーケットに狙いを定めて、開発を進めていく方針です。

服部 日常生活のなかで、私たちが開発したロボットを見る機会が増えることを目標にしたいですね。そこが「会社が成長した」という証しになるのではないでしょうか。将来的には、今のOSTechの売上・利益に匹敵するくらいの業績を上げる会社にしたいですね。

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