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2021.02.08

【医薬分野トップ対談】ビッグデータ・AI・ロボット…。医薬業界にOSTechグループが新風を吹き込む

PROFILE

  • ■左:古賀 竜二(株式会社アールピーエム 代表取締役/株式会社トライアングル 代表取締役社長)

  • ■右:北村 浩樹(アドバンテック株式会社 代表取締役)

このほど改定されたOSTechグループの中期経営計画で、ITや機電、建設と並んで「これから注力する4分野」にあげられている医薬分野。この分野をグループ内で担っているのが、アールピーエム、トライアングル、アドバンテックの3社だ。今回はアールピーエムとトライアングルの両社の代表である古賀竜二と、アドバンテック代表の北村浩樹のふたりに、OSTechグループが“医薬×IT”の可能性に、どのように挑もうとしているのか、語りあってもらった。(この記事は2020年11月9日の取材をもとに制作しました)

医薬開発の川上から川下まで「ヒト」の面で支援

医薬分野を担うグループ会社3社について、詳しく知りたいと思います。まずは古賀社長、アールピーエムの事業紹介をお願いします。

古賀 アールピーエムは、医薬品の開発支援業務を行っている企業です。専門的には医薬品開発業務受託機関、Contract Research Organization (以下、CRO )といいます。医薬品開発の現場に人財を派遣する事業と、製薬会社さんの新薬の開発工程をほぼ丸ごと請け負う受託事業をやっています。派遣が150〜160名、受託が50名くらいの規模です。

白衣を着て、実験を繰り返すような業務に従事している…?

古賀 いいえ、アールピーエムのスタッフは、みんなスーツを着ています(笑)。“医薬品の開発現場”といっても、ラボで実験をするのではなく、医薬品の治験が行われる病院に出向いて、「法令通りにきちんと治験が行われているか」をチェックする役目。業務としてはモニタリングやデータマネジメントなどが主になります。「病院のなかで、スーツ着用で働く」という意味では、MRさん(Medical Representative、医薬情報担当者)に近いイメージでしょうか。

ありがとうございます。では北村社長、アドバンテックの事業内容について、解説をお願いします。

北村 製薬会社のラボで研究開発を担う「人材派遣事業」と、そういう仕事に携わる人財を育てる「研修事業」の2本柱でやっています。約1,000名のスタッフが在籍していて、うちのメンバーは白衣を着ています(笑)。当社のメンバーがプロセスに携わって開発された薬が、治験段階になったら、こんどはアールピーエムのメンバーがサポートする、という流れですね。

なるほど。それでは、古賀社長が代表を務めているもう1社、トライアングルの事業内容を教えてください。

古賀 「安全性管理業務」です。薬を処方した患者さんになにか副作用が起こった場合、病院側はその薬のメーカーに症例を伝える義務があります。情報を取りまとめ、データベースに入力し、重大な副作用については厚生労働省へ報告を行う、といった業務です。製薬会社さんや、アールピーエムのようなCROがお客さま。いまは約400名のスタッフを派遣しています。

アドバンテックが医薬開発の最初の段階、アールピーエムが中間段階に位置するとすれば、3社のなかでいちばん川下に位置するのがトライアングル。たとえば、いま話題の新型コロナウイルスに対するワクチン。今春にも日本での接種がはじまるといわれています。なにか副作用が起きた場合に、その情報をとりまとめるのも「安全性管理業務」に含まれます。

OSTechグループ入りでヒトへの投資が加速

おふたりのOSTechグループ入りの経緯を聞かせてください。古賀社長のほうが先にグループジョインしたそうですね。

古賀 はい。2009年にアールピーエム、トライアングルの2社の社長として、OSTechの親会社であるアウトソーシングのグループにジョイン。その後、改めてOSTechのグループに入った、という経緯があります。

もともと、2社はある企業の子会社として立ち上げられたもの。私はその母体の企業から、子会社2社のトップを任せられていたのです。ただ、リーマンショックで母体の会社の経営が思わしくなくなり、新たな出資者を探したなかで、アウトソーシングに助けていただき、グループ入りしたわけです。

北村 私の場合、そんな古賀社長にくどかれて、アドバンテックを率いてOSTechグループに参加しました。

えっ。そんないきさつがあったのですね。

古賀 はい、2年間、誘い続けたのですよ(笑)。「ウチに必要な事業なので、ぜひグループ入りしてほしい!」と。アドバンテックの魅力は、「研究職に強い企業であること」と、「研修に非常に注力していて、そのクオリティが高かったこと」。3社が組めば医薬開発の川上から川下までをカバーできる。「全プロセスをワンストップでカバーしてくれるところがいい」というお客さまを獲得できるのです。それに、アドバンテックの研修ノウハウを2社に移植して、人財力を大幅にアップできると考えました。

北村 ちょうどそのお話をいただいたのが、アドバンテックのオーナーだった会長が引退を考えはじめたタイミング。会長が財務面を、社長の私が事業運営や研修など、財務以外のすべてを担当する体制でした。会長が引退するにあたって、親族は継ぐ意思はなく、私たち役員に株を買いとる資金力もなかった。株を買い取ってくれる先が必要だったわけで、そこに古賀社長のお誘いがうまくはまったのです。

なるほど。OSTechのグループに入って、どんな変化がありましたか。

古賀 アウトソーシングは上場企業。その仕組みを導入することで、“経営の見える化”ができました。それ以前は、“どんぶり勘定”的なところがありましたから。その後、OSTechのグループに入ってからは、より経営が洗練化され、シャープになった。茂手木社長の掲げる「数字へのコミットメント」とか、新世代ベンチャーならではの、新しい経営手法を学ばせていただいています。

北村 当社の場合、以前よりも思いきった投資ができるようになりましたね。たとえば、神戸の研修センターの立ち上げ。OSTechグループ内の別の企業が「神戸に事業所を出すのだけど、入居する建物がかなり大きいから一緒にどう?」と。ゼロからセンターをつくるより、はるかに短期間・低コストになりました。年間1億円を研修に投資しているなか、建物の確保や家賃にその予算を使ってしまうのはもったいない。

研修で人財のスキルアップをはかるのは、派遣先のメーカーさんからの評価を上げるため。評価が上がれば高単価になりますし、転籍のお誘いをいただくこともあります。そのときにいただく転籍フィーも当社の大きな収益源になっているのです。OSTechグループに入ってから、このビジネスモデルにより磨きがかかり、売上を大きく伸ばすことができています。

ITが再生医療や新薬開発にイノベーションを起こす

OSTechグループの中期経営計画においては、注力すべき4分野のひとつとして「医薬」があげられています。医薬分野のどんなところに期待される将来性があるのでしょうか。

北村 まずひとつは「景気に左右されない分野」だということ。医薬の開発は、「不景気だから止める」「コロナ禍だから止める」ということは決してない。病気には、景気もなにも関係ありませんから。製薬会社は常に研究開発をやっているし、そこに必ず「ヒト」は必要になる。これが医薬分野のいちばんの強みだと思います。

加えて「まだまだ人海戦術でやっている業界」ということもあります。テクニックが必要な部分には「ヒト」が求められるし、薬の安全性についても人と人とのコミュニケーションで確認している状況があるからです。「ヒト」の面で業界を支えていくビジネスのニーズは、非常に高いものがあります。

古賀 ただし、その「人海戦術」の部分は変わっていくと予測しています。ITを活用して、ヒトの手を借りる領域を減らしていく動きが加速していくはずです。そして、まさにそこにOSTechのITのチカラを発揮して、私たちが業界変革をリードするチャンスが生まれると考えています。

「医薬×IT」によって、どんなことが実現できるのでしょう。

古賀 そうですね、みなさんは、医師やAIが患者さんをリモートで診察する「遠隔診療」が、近々実現しそうだという話を聞いたことがあると思います。技術的には相当進んでいる。ですから、私たちのビジネス領域でいえば、「遠隔治験」だって実現可能性が高いのです。

それから、AIを使えば、新薬が一瞬で完成してしまう。そんな未来もありえると思います。薬とは化合物を組み合わせてつくるもの。その組み合わせの作業を、これまではヒトが、一つひとつやっていました。でもAIを使えば、「この3つの化合物を組み合わせると、どうなる?」といったことが、過去のビッグデータを用いればポンポンっと導き出せる、そんなことが可能になってきています。

北村 あとは「再生医療」の分野。人間の細胞を培養して増やしていく作業を、いまはまだ、ヒトがやっています。ちりやゴミがいっさい入らないように、細心の注意が必要。でも、そういう作業であれば、ロボットがやったほうがうまくいく面もあると思います。いずれは切り替わっていくでしょうね。

事実、先般、OSTechグループの子会社が、病院内のウイルス除去作業を自動で行うロボットを発売し、話題になっていましたね。OSTechグループの最先端テクノロジー開発力をもってすれば、医薬分野における、さまざまな可能性を切り拓いていけると思います。

グループのチカラを結集して飛躍する

ワクワクする未来ですね! その実現のために、3社それぞれ、どのような成長戦略を推進していきますか。

北村 製薬会社であれ、バイオベンチャーであれ、「医薬系の研究職を採用するなら、ぜんぶアドバンテックにまかせる」という状況になることが、私が描く未来のカタチです。「医薬分野の研究者採用を一手に引き受けて、教育して、配属して、よければ転籍させてください」というビジネスを、さらに磨いていきたいですね。

古賀 現在、アールピーエムとトライアングルの一体化を推し進めています。これまでは業界の後発組として、独自に案件を開拓して受注していく必要があったため、2社それぞれが営業活動をしていました。しかし、ある程度の企業規模に達したいま、これから業界上位をねらっていくためには、他社と正面から競合する案件を勝ちとっていく必要がでてきます。そのカギとなるのが、両社の事業をあわせること。それによって、お客さまの研究開発における人財不足に一気通貫で貢献できるようになるメリットがあります。

これにより、国内外の著名な企業の重要な新薬開発の案件を増やしていけます。そうした案件に携われるようになれば、優秀な人財を採用・定着させることができ、さらに企業成長していける。そうした好循環をつくり出し、業界トップをめざしていきたいですね。