Message
|
2020.11.09
Category
Tag
Message
|
2020.11.09
ソリューションサービス事業本部 本部長
高田 進一朗
約3,000名のエンジニアが活躍しているソリューションサービス事業本部。エンジニアの技術提供ばかりでなく、自社開発プロダクトの販売など、新しいビジネス形態による顧客への貢献に取り組んでいる。このほど改定された中期経営計画では、この新たな取り組みをさらに進め、“最先端テクノロジーで武装したエンジニアに、お客さまのもとで働いてもらう”新機軸にも挑戦するという。エンジニアがこのような新たな波に乗るためには、どうすればいいのか、ソリューションサービス事業本部のトップである高田進一朗に解説してもらった。
すでに実現している例でいえば、「RPAのテクノロジー+事務スタッフ」をセットで提供しています。RPAは、バックオフィス部門のルーティンワークをソフトウェア・ロボットが担うことで、スタッフがより戦略的な仕事に携われるようにするもの。管理業務の大幅な効率化につながる画期的なテクノロジーですが、「社内体制が変わるたびにロボットのソフトウェアをアップデートしなければならない」「異動があるたびに、新任スタッフにロボットのあつかい方を教えなければならない」といった手間が発生していて、普及にブレーキがかかっているのが現状です。
そこで私たちは、「事務の仕事ができて、しかもロボットのソフトウェアの更新もできる人財」を、RPAのテクノロジーとセットでお客さまの管理部門に提供しています。お客さまの側からすれば、たとえば「いままではスタッフ10名分のコストがかかっていた業務が、『4名+RPAソフトウェア』のコストですむようになり、大幅なコストダウンになる」。私たちの側にとっても、スタッフ一人ひとりに還元する金額を大きくできるので、まさにWin-Winですね。
その通りです。「テクノロジーで武装することで、経験の浅いエンジニアであっても、熟練エンジニアと同等に戦える」というイメージでしょうか。当然、給与面でも、熟練エンジニアに近い金額をもらえるようになるわけです。
背景には、いまの日本において、エンジニアが圧倒的に足りていないことがあります。この課題解決のために、私たちは数多くのエンジニアを雇用して、お客さまのもとでサービス提供することで貢献してきました。しかし、それだけではまだまだ足りない。そこで未経験者・新卒者の採用にも取り組み、外国人の採用もはじめました。こうした人財のスキルを、教育によって現場で通用するレベルにまで引き上げて、お客さまのもとで働いてもらっています。
しかし、教育によって人財のスキルが十分に上がるまでには、時間がかかります。お客さまが求めるスピード感にマッチしないことも多かった。お客さまのニーズにこたえるにはどうすればいいかを追求した結果、「最先端テクノロジーという武器を装備することで、未習熟エンジニアでも、ベテランと同等の仕事ができる」というビジネスモデルにいきついたのです。
「RPAのテクノロジー+事務スタッフ」の取り組みは、コロナ禍がはじまる前にスタートさせたものですが、コロナ禍によって「なにがあっても業務を止められないエッセンシャル・ワーカー」の人手不足や過大な業務負荷という課題が浮かび上がってきた。「最先端テクノロジーと人財をセットで提供する」というビジネスモデルへのニーズが、大きく伸びていくだろうと予想しています。
エンジニアであることを、いったん置いて考える“脳みそ”をもっていてほしい。いま、みなさんが働いている現場には課題がたくさんあると思います。エンジニアリングによって解決できる課題も、たくさんあるでしょう。でも、ある課題に対して、「エンジニアリング的な解決策だけしかない」ことは“まれ”です。業務フローを変えるとか、マニュアルを作成するとか、スタッフへの教育を見直すとか、非エンジニアリング的な解決策もあるはず。
そこにも考えがおよび、非エンジニアリング的なものも含めて10個の解決策を提案できるエンジニアと、エンジニアリング的な解決策をひとつだけ提案できるエンジニアがいたとします。たとえ、後者の解決策のレベルのほうが非常に高かったとしても、重宝されるのは前者の「解決策を10個、提案できる」エンジニアです。お客さまの現場の事情に精通したうえで、現実的な解決策を考えることが大事。そして、解決策を考える、提案するチカラを高めていってほしいのです。
ええ。「現場で使える解決策を提案できる」ことこそ、私たちが他社との競争に打ち勝つ、いちばんのチカラになっているからです。たとえば、2020年7月から、長谷工グループさんのマンションメンテナンス現場で使われている、複合現実ソリューション『AR匠RESIDENCE』。これまでマンション外壁の検査は2人1組で行っていましたが、私たちが開発した『AR匠RESIDENCE』を搭載したデバイスを装着すれば、ひとりで作業できる。大幅な省力化を実現しました。じつは長谷工グループさんでは、こうした「現場の人手不足問題をテクノロジーで解決するプロジェクト」を100個ぐらい走らせていました。でも、そのなかで実地に採用されたのは、いまのところ『AR匠RESIDENCE』だけ。
なぜなら、ほかのプロジェクトのソリューションは、現場で試してみると「これはちょっと使いにくいな…」という反応が出てしまうものが大半だから。複合現実技術を専門にあつかう企業が開発したプロダクトのなかには、技術的には非常に高いレベルであっても“技術自慢”になってしまっていて、現場で使いにくいものになってしまっているものがたくさんあるのです。でも私たちは、現場でお客さまのエンジニアと私たちのエンジニアが肩を並べて働いている。「現場が必要としているもの」「現場が悩んでいること」「現場で使いやすいもの」を熟知している。だから「現場で使える」ソリューションを提供できるのです。
その通りです。たとえば、業務変革で数多くの実績をもつ世界的コンサルティングファームだと、経営に密着し、経営課題は熟知しているわけです。ですから彼らが提供するソリューションは、経営課題を解決するためには最適だけれど、現場のことには明るくないので「現場では使いにくい」ものになりがち。逆に、私たちは現場に密着し、現場の課題解決に最適なソリューションを提供する。現場がより良く回るようになる結果、お客さまの経営にもお役立ちする、そういう会社です。
世の中のあらゆるところにある「現場」。そこにある課題を「テクノロジーで武装したエンジニア」が解決していく。これが実現できれば、アウトソーシングテクノロジーは、社会的に“すごくカッコいい会社”になると思います。
ソリューションサービス事業本部だけでなく、全社をあげて、コロナ禍以後の「ニューノーマル」に対応するエンジニア支援の仕組みをつくっていきます。スキルアップのための教育カリキュラムや、リモートワークを前提とした評価のあり方など、さまざまな点を見直して、みなさんが安心して働き続けられるようにしていきます。
というのも「ポスト・コロナ時代」は、アウトソーシングテクノロジーにとって、少なからず追い風だと考えているからです。コロナ禍のさなかには、お客さまがIT投資をひかえる動きもあるでしょう。しかし、いつかは落ち着いてくる。そのときお客さまは「もういちど体制を立て直して戦おう」となるはず。そして、その方向性は、デジタル化の一択であろうと思います。私たちのビジネスにとって、巨大なチャンスがめぐってくるのです。
そのときに向けて、みなさんには、いまいる現場で、なにが課題で、どうすれば解決できるのかを考え続けていてほしい。その積み重ねがアウトソーシングテクノロジーの企業成長の原動力になり、ひいては、みなさんの収入アップやキャリアアップに直結するのですから。