Career Story
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2023.05.15
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2023.05.15
国内屈指のカーレースとして32年の歴史を持つ“S耐”こと、『スーパー耐久シリーズ』。その2023年度の第2戦目が、5月26日から28日までの3日間、静岡県の富士スピードウェイで開催される。実はこのレースに、アウトソーシングテクノロジーのエンジニアがドライバーとして参戦する。トヨタ・ヤリスを改造したマシンを駆って、表彰台を目指すのは、豊田支店で大手自動車メーカーからの請負業務に携わる湊雅之だ。「エンジニア」と「レーサー」の“二足のわらじ”を履く彼に、目前に迫ったレースに臨む心境と、仕事への想いなどを語ってもらった。
湊 雅之(機電事業本部 豊田支店)
◆入社:2020年(中途)
◆趣味:自動車、モータースポーツ、ピアノ
「スーパー耐久シリーズ」、通称“S耐”と呼ばれるレースです。カーレースの世界では、1台の車を、複数のドライバーが交代で運転しながら長い時間、走行するレースを「耐久レース」と呼びます。その耐久レースの中で、“S耐”は市販車ベースのマシンで争われるのが大きな特徴。レース用の車と聞くと、車輪とドライバーが剥き出しの「フォーミュラカー」を思い浮かべるかもしれません。でも、“S耐”は、全体がパネルで覆われた、一般的な「ハコ車」も参加できるのです。実際、今回、私はトヨタ・ヤリスを改造したクルマのドライバーのひとりとして、レースに挑戦。“S耐”は、そうした「ハコ車」が参加するレースの中では、日本最大級だと言われています。
レースは車の性能によって分けられたクラス別で行われ、私が所属するチーム『AutoLabo Racing』が出場するのは、「二輪駆動・排気量1,500cc未満」の車による「ST-5」というクラスです。ライバルはマツダ・デミオ、ホンダ・フィット、マツダ・ロードスターなど。「ST-5」クラスは、今年度に合計6回のレースを行います。1戦目は3月に三重県・鈴鹿サーキットで行われ、私たちのチームは予選11位、決勝9位と、まずまずの成績でした。5月の次戦ではさらに上位を狙いたいですね。
はい、ありがとうございます! その点で、会社にはとても感謝しています。私がドライバーを務めるチーム『AutoLabo Racing』は、OSTechにスポンサーとしてサポートしてもらっています。私はこれまで、エンジニアとカーレーサーの二足のわらじを続けていて、いくつかのレースにドライバーとして参戦してきました。でも、“S耐”のような大きなレースに出場した実績はない。
そこで、私は会社にチームスポンサーになることを提案。OSTechにとって、自動車業界の仕事は非常に多い。市販車をレース用に強化したクルマが多数、参加するこのレースのスポンサーになることで、“自動車分野のエンジニアリングに強い会社”とPRできる。自動車大学校のチームも出場しているので、将来のエンジニアの卵たちにもOSTechの名前を知ってもらうことができます。私自身の想いと、会社の目指すところが一致して、今回のレース参加が実現した訳です。
ありがとうございます。レースはYouTubeでも無料観戦できます。私たちのチームのゼッケンは290番。この番号を付けたヤリスをぜひ、応援してください。正直、私たちは、まだ“S耐”に参戦して日が浅いので、ライバルに比べて、マシン開発が進んでいない点が多い。それでも、やるからにはもちろん優勝を目指しますよ!
実は、2023シーズンのレース用に指定されていたタイヤの製造工場が火災に遭い、急遽、別のタイヤを使わなければならないというレギュレーションの変更が発生しました。タイヤ変更によるマシンセットアップをゼロからやらなければいけないのですが、それはライバルチームも同じ。もしかしたら、これで「マシン開発が進んでいない点」の差が少なくなったかもしれない。私たちのチームが大番狂わせを起こす可能性も、ないとは言えません。
大手自動車メーカーさんの現場で、請負プロジェクトのリーダーを務めています。新しいスポーツカーを開発するプロセスの内、アッパーボデーやアンダーボデーの板金及び艤装(ぎそう)部品の設計に携わっています。私を含めてOSTechのメンバー5名のチームです。
例えば外装部品の場合、自動車メーカーさんのデザイン部門が、ボデーの形状をデザインした後、エンジニアリングの観点からチェック。成形性や組み付け工程での作業性、各国の法規要件等さまざまな設計要件を確認します。その上で不整合箇所があった場合は対策形状を提案し、すり合わせを行い、「デザイン的にも美しく、機能性を満たし、製造プロセスにも問題がない」部品を設計していく仕事です。私が愛してやまないスポーツカーの開発に携わり、自分の考えを設計に反映できることに、とてもやりがいを感じていますね。
子どものころから車が好きだったのですが、TV番組で、自動車メーカーに所属するテストドライバーの特集を見たのがエンジニアを志すきっかけになりました。その仕事は車両開発時に、ドライバーとして走行テストする仕事でした。それで、「テストドライバーを目指そう!」と、モータースポーツ科という専門課程がある自動車専門学校へ進学。そこで走行実習を行う中で、走ることの面白さと出会い「レーサーになりたい!」と思うようになりました。
卒業後は、一般企業に就職しつつ、当時住んでいた新潟にあるレーシングチームへ所属。会社員とレーサーの二足のわらじを履く、私のキャリアがスタートしました。その後、学生時代にアルバイトでお世話になった会社が、レースのスポンサーになってくれて、その会社に転職しました。しかし、スポンサー契約終了と同時に退職することに。新たなキャリアを探す中で、グローカル株式会社に出会いました。
グローカルは、新車開発工程の請負業務など、自動車業界向けのアウトソーシングサービスを手掛ける傍ら、社員がカーレーサーとして活動するのを支援している会社。私は車の基本構造に関しても精通している自信がありましたから、「エンジニアになろう!」と。そこでグローカルの求人に応募したところ、無事、採用されました。そこから、会社のバックアップを受けて、エンジニアとレーサーを兼業するようになったのです。その後、2020年に、グローカルがOSTechに合流することになり、私も転籍。OSTechにジョインしました。
それでは、グローカル時代から継続して携わった新車開発の現場で、ブレーキ冷却の開発に携わったときのことをお話しします。この車両には約4年間、携わっていたのですが、開発終盤になって急遽、当初計画にはなかったブレーキダクトをつけることになった。空気を送り込んでブレーキを冷却し、性能を高めるための部品です。
私たちのチームは、どのような形状・大きさのダクトを、どのような経路で配置するかを検討し、なおかつ通常の開発リードタイムの半分以下の日程で設計することを求められました。実機を使ったテストは、膨大なコストと時間が掛かる。そこで私は、流体解析ソフトを使って検証することに挑戦しました。空気の流れをコンピュータ上でシミュレーションできるもので、お客様であるメーカーさんが、さまざまなダクト単体の解析などのために保有していました。
しかし、ブレーキダクトの設計用や車両全体の解析には使った実績がなく、マニュアルもなければ教えてくれる人もいない。何より、私自身がこのソフトを使うのは初めて。それでも、独学で操作方法を学び、手探りでシミュレーションしていきました。結果、最適な形状を見つけることができ、最終設計に反映されました。この時の達成感は忘れられませんね。
憧れているのは、2017年の全日本スーパーフォーミュラ選手権でシリーズチャンピオンに輝くなど、カーレーサーとして大活躍されている石浦宏明さん。レーサーとして多くの実績をあげながら、自動車メーカーの新車開発のテストドライバーとしても活躍されている。私も石浦さんのようになりたいです。
さらに言えば、今は私ひとりが「エンジニア」と「レーサー」を兼ねている状態ですが、「これをチーム化できないかな」と。レーシングチームとしてカーレースに参戦すると同時に、自動車メーカーさんの新車開発プロジェクトを請け負うエンジニアの集団でもある、というようなチーム。OSTechにそうした部門を立ち上げられたら、最高ですね。
OSTech社員を対象に、24時間耐久レースの観戦イベントを開催いたします。社内掲示板等 新着情報で随時ご案内いたします!
ぜひご応募ください♪