Career Story

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2021.04.12

【工場自動化プロジェクト対談】最先端の制御テクノロジーを結集し、長さ170mの巨大装置をオートで動かす

PROFILE

  • 左:田北 晋一(R&D事業本部 プロダクトソリューション部 関西開発センター/チームリーダー)
    ◆入社:2019年
    ◆趣味:テレビゲーム、アニメ、マンガ、クルマやバイクでの旅行

  • 右:川﨑 章平(R&D事業本部 西日本エリア 大阪支店)
    ◆入社:2015年
    ◆趣味:ライブに行くこと、お酒

神戸ポートアイランドにあるアウトソーシングテクノロジーのテクニカルセンター。ここでは、プロダクトソリューション部の関西開発センターに在籍するエンジニアたちが、PLCなどの制御技術を駆使して、工場の自動化を進めるテクノロジー開発に取り組んでいる。今回は、そこで開発された技術を適用して、大手メーカーの有機ELパネル工場内にある大型装置の自動化に携わっている2名のエンジニアに取材。どんな仕事をしているのか、解説してもらいました。(この記事は2021年2月4日の取材をもとに制作しました)

スマホやテレビで使うパネルの工場で活躍

おふたりはいま、大手メーカーの工場で、自動化プロジェクトに携わっているそうですね。どんな現場なのですか。

田北 有機ELパネルの製造ラインです。そのなかで私たちがあつかっているのは、ガラスに光が映るように加工していく工程です。原材料のガラスを受け入れて、加工して、次の工程へ引き渡すまでを、すべて自動で行う装置を担当しています。

川﨑 最終的には小さなパネルに切り出して、テレビやスマホなどの画面に使用されるモノですが、私たちが担当している段階では、巨大な1枚のガラス。ですから装置自体がとても大きく、ひとつのユニットが1辺4mもの立方体で、それが組み合わさって、長さ170mくらいの巨大な装置になっています。

田北 まれに装置の上に登って作業することもありますが、下を見るのがこわいですよ(笑)。

すごい…。そんな巨大な装置がある現場で、どんな業務に携わっているのか、教えてください。

田北 いま行っているのは装置制御です。設計はもちろんですが、ある程度、完成した状態で、ユーザーへ納めたソフトに対して、現場で実際に制御しながら、トラブル発生時の対応をしています。そして、「この動作ではもの足りない」とか「こんな新しい機能がほしい」といった要望が出たときに、一つひとつこたえていって、よりよいシステムにブラッシュアップしていくのがおもな業務です。

川﨑 トラブル対応では、原因を調査して復旧させるまでのスピードが勝負。原因がソフトウェアにある場合も、ハードウェアにある場合も、どちらでもトラブルは発生するので、私たちエンジニア自身は両方に精通していなければなりません。プレッシャーもやりがいも、どちらも大きい仕事ですね。

PLCをあつかえるエンジニアの需要が増えている

このプロジェクトのなかで、「OSTechだからこそ、お客さまのお役に立てている」といえる部分は、どこでしょう。

田北 ひとつあげるとすれば、PLC (Programmable Logic Controller)※に詳しいエンジニアが多いことでしょうか。今回のプロジェクトでも、私たちがあつかっている装置の制御にPLCが使われています。いちど、PLCからの通信がうまくはたらかなくなるトラブルが起きてしまって、いわば“自分がいまなにをやっているのか、装置自身がわからない”状態に。それで通信ソフトをOSTechでつくり直し、エラーを解消したんです。そのときは、お客さまに大変喜んでいただけました。
※機械が実行する動作を事前に順序付けて記憶させることで、効率的に機械を動かせる装置のこと。なかでもコンベアや加工・組立機械の制御はPLCによって格段に向上し、製造現場のFA(ファクトリーオートメーション)に大きく寄与している。
(出典:ロボット導入.com  https://www.robot-befriend.com/blog/plc/

機械の制御に欠かせない「PLC」とは?自動化システムで効率化を | ロボット導入.comブログ | ロボット導入.com

工場では多くの機械・設備が作動しています。工場自動化の一助となっているのが、PLCという装置であることはみなさんご存知でしょうか。今回はPLCについて、定義やメリット、動かすための方法などを解説していきます。

おふたりとも、PLCに精通している、ということですね。

川﨑 私は工業系の高校出身で、授業でPLCをあつかいました。卒業後は、鉄道関連の電気設備をあつかう会社に就職。そこからOSTechに転職して、3社ほど現場に出たあと、プロダクトソリューション部への応援のお話をいただいたんです。PLCの知識がある、電気系のエンジニアだということで白羽の矢が立ったと聞いています。

PLCは、学校で学ぶか、PLCを含む機械のメーカーで働くか、どちらかでないと知識を得るのは難しいと思うんです。用途がそんなに広くないので。「趣味でPCソフトを自作したことがある」という人はたくさんいますけど、「趣味でPLCソフトを自作したことがある」って、聞いたことがないですよね(笑)。ですから、知識をもつエンジニアの数が少なく、需要が大きいんです。

数多くのメーカーさんの現場でエンジニアに活躍してもらっているOSTechだからこそ、「いま、現場で“PLCがわかるエンジニア”のニーズが高まっている」と的確に読みとり、メンバーを集めてサービス提供できる体制をつくりあげられたわけですね。

田北 その通りだと思います。それともうひとつ、つけ加えれば、半導体メーカーさんや半導体製造装置メーカーさんの現場経験があるエンジニアが多数いることも、OSTechの強みかもしれません。半導体産業は自動化の面で最先端をいっていますから。そこでの経験、知識やノウハウを、半導体ではないメーカーさんの工場にも適用できる。このように、工場自動化の分野でOSTechならではのサービスが提供できるんです。

農業もフォークリフトも自動化できる!

OSTechがもつ、工場自動化のテクノロジーをさらに進化させ、世の中に広げていくことで、どんなことが実現できますか。

田北 いまは、工場のなかの一つの装置の制御を任せていただいているんですが、近い将来、工場全体の自動化を任せていただけるチームになっていけたら、と考えています。個人的には、植物工場なんか手がけてみたいですね。温度、湿度、肥料や水分の量など、つねに最適になるように制御して、日中は天窓から日照を入れて、それだけでは光が足りない季節はLEDライトを点灯する。それらをすべて自動でできるような工場。それをOSTechでできれば、夢があるなと思っています。

川﨑 工場だけでなく、物流の現場の自動化もやってみたいですね。いま、フォークリフトのオペレーターが不足しているという話を聞くので、それを自動化できたら、と。

自動フォークリフト! ものすごく便利ですね。そんな「すべてが自動化される」未来が実現したとき、「エンジニア」という職種のあり方に、なにか変化はあるでしょうか。

田北 そうですね…。いわゆる「システム屋さん」とは違う、別のタイプのエンジニアが必要になるかもしれません。いま、私たちは装置を制御する中枢となる機器やシステムだけでなく、末端というか、実際に動いている部分のところもあつかっています。末端にあるセンサーに情報が入ってきて、それをもとに中枢で「なにをどう動かすか」を決めて指令を出し、末端がその通りに動く。

その一連のプロセスのなかで、「どんな情報が入ってきて、その情報にどんな意味があるか」を、私たちは知っていないといけません。それらを知ったうえで、制御システムを設計していくのが私たちの仕事です。いわば、「自動化工場のデータサイエンティスト&設計者」みたいな立場ですね。いずれは、お客さまの工場にエンジニアを派遣するのではなく、OSTechがつくった自動化システムをお客さまに提供して、システムの稼働状況を、OSTechのオフィスにいるエンジニアがモニタリングするようなことができたら、いいですね。

なるほど。最後に、WEB社内報を読んでいる若手エンジニアに向けて、メッセージをお願いします。

川崎 うーん、そうですね…。それでは自分の経験からひとつだけ、お話しさせてください。OSTechに入ったころ、「この会社でなにをしたいか」という目標がまったくなかったんですよ。目の前の業務について、「なんのためにこの仕事をやっているのか」が見えない状態。それで悩んでしまった時期もあったんです。

でも、OSTechはさまざまな現場で、たくさんの経験を積める会社。経験を積んでいるうちに、自分のやりたい方向を見つけられました。私自身、高校時代にさわったPLCの知識が、いまになって活かせて、とてもやりがいを感じられています。そんな思いがけないカタチでキャリアが見えてくることって、必ずあると思うんです。ですから、なるべくいろんなことに挑戦し、いろんな現場を見て、そのなかで自分なりのやりがいを見つけたらいいのでは、と思います。

田北 すごくいいことを先にいわれてしまった。プレッシャーがかかりますね(笑)。
そうですね、WEB社内報の取材を受けると聞いたときから「これはちょっと、いっておきたいな」と思っていたことがあって。それは、“まずは、なんでも疑問をもつこと”。そして “その疑問について、自分で考えることを身につけていったほうがいい”ということです。

これまでの経験上、お客さまからの仕様書や要望を、何の疑問ももたずにそのまま受け入れてしまうと、だいたい問題が起きてしまうんですね。ですから、「どうしてこれが必要なのか」「なぜ、こういう仕組みにしたのか」といったことを、事前におうかがいするようにしています。そうすることによってトラブルを防げますし、お客さまからの信頼も増す。そのうえ、ヒアリングや、トラブル回避の提案を企画するうちに、知識も増えていくんです。

受け身で仕事をしていると、自分でなくてもいいように感じて、おもしろくなくなってくるんですよ。ですから、「どうしてこうなんだろう?」と疑問をもち、それについて自分で考えて、解決に導いていく。それが、仕事の楽しさにつながると思います。

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