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2024.12.02
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2024.12.02
半導体産業における最先端の製造技術・装置・材料などの国際展示会『SEMICON JAPAN』。48回目を迎える2024年は、12月11日(水)から3日間、東京ビッグサイトに100を超える企業・団体が集結する。昨年は8万5,282人が訪れた、この一大イベントの最終日。13日(金)に、アウトソーシングテクノロジーで研修講師を務める渥美二一が、若手エンジニア向けのセミナーに講師として登壇する。今回は、イベント開催前に一足早く、渥美を取材。セミナーを通じて若手エンジニアに何を伝えたいのか、語ってもらった。
■渥美 二一(経営企画室 技術管理グループ 技術管理課)
私自身、いちエンジニアとして、これまでに開催された『SEMICON JAPAN』に何度も足を運びました。展示やセミナーを通して、半導体産業の最先端を体験できるからです。半導体分野に携わっているエンジニアの方はもちろん、半導体関連のテクノロジーに関心のあるエンジニアの方は、このイベントにぜひ、参加して欲しいですね。
これまで、何度も参加してきて思うのですが、SEMICONには“学会の発表会”のような雰囲気があります。普段は、ライバル企業のエンジニアがどのようなことに取り組んでいるか、うかがい知れませんが、SEMICONの場では、「今後、この技術が有望だ」といったことをかなり具体的に、オープンに語ってくれる。そこで得た知見は、エンジニアとして、この先、何を勉強すべきなのか、進むべき方向はどこなのかを判断するのに、大いに役立ちました。
イベントの最終日、12月13日(金)午前9時半スタートの『若手技術者に向けた後工程概論 I』です。ウエハ完成後の後工程フローについて、ウエハテスト、バックグラインド、ダイシング、ダイボンディング、ワイヤボンディング、樹脂封止、アウターリードメッキ、端子加工、マーキング、出荷テストといった工程ごとに解説します。コンベンショナルな技術がどのように確立されてきたのか、歴史を振り返りながら、お話しします。基礎知識がしっかり頭に入ると思いますよ。
講義では、「いま半導体の世界では、後工程が非常に注目されている」ことにも触れていきます。たとえば、スマートフォンに実装するICチップは、ウエハを何層も重ねて性能を高めています。こうした最新の情報を織り交ぜながら講義を進めていく予定です。
イベントを主催する『国際半導体製造装置材料協会(Semiconductor Equipment and Materials International/以下、SEMI)』の日本オフィスの仕事に携わっている知人に、声を掛けてもらったのがきっかけです。「若手エンジニア向けのセミナー」と聞いて、「ひとりでも多くの若手エンジニアが成長できるように、私なりに貢献したい」という想いで、お引き受けすることにしたのです。
ルーツをたどれば、子どものころから自然科学に関心があり、特に電気製品に興味を持っていたことだと思います。少年時代、夢中になって真空管ラジオを自作。今の若いエンジニアのみなさんは、“真空管”といっても、イメージがわかないかもしれませんが(笑)。そして、大学では化合物半導体を研究し、卒業後は半導体メーカーに就職。そこから、エンジニアとしてのキャリアがスタートしました。
入社後は、仕事を覚えるために、大学時代よりも勉強しました。その成果かどうかはわかりませんが、カーラジオ用IC(集積回路)の設計をした時、全く修正されることなく、私の設計どおり、車に搭載していただきました。若手エンジニアの設計では珍しい例だと思います。しかも、そのICチップは、開発から約40年が経った今でも、秋葉原に行けば買えるロングセラー。市場から一定の評価を受けたと自負しています。
その後は、精密機器メーカーに転職して、定年まで勤めることに。そこではデジタル・アナログ混在ICの開発・設計や、露光機用の半導体および機器の開発・設計などに携わりました。
前職で、若手エンジニアの育成に関わることも多く、「定年を迎えた後もそうした仕事に携わりたい」と思っていたからです。たとえば前職で、20年前に販売された半導体製造装置について、「同タイプが欲しい」という注文を受けた時のこと。設計を把握しているエンジニアは、社内で私だけ。そこで私がリードしながら設計し、お客様の依頼に応えるとともに、構造のポイントを若手エンジニアに伝え、似た注文が来た際に、対応できるように引き継いだのです。社内研修の講師も務めていたこともありましたし、とても、大きなやりがいを感じていました。
そこで定年退職後、「若手エンジニアの成長を支援する仕事」を探し、転職サイトを通じてOSTechと出会いました。研修講師の仕事のオファーを受けて、お受けすることにしたのです。
2023年からOSTechに設けられた「半導体大学校」の講師を務めています。若手エンジニア向けに、半導体関連の技術の基礎知識を学んでいただくもの。実は「半導体大学校」の講義内容は、今回『SEMICON JAPAN 2024』のセミナーで私が講義する内容と、ほぼ同一です。
そうかもしれません。コンベンショナルな工程について基礎知識を把握していれば、仮に未経験のエンジニアであっても、お客様は「知識のある人材」として重宝され、現場が決まりやすいと思います。それに現場へ出た後も、お客様の事情で「別のプロジェクトに携わって欲しい」というときに、基礎知識がある人材は応用がきくので、異動しやすい。その結果、さまざまな技術を経験することができ、エンジニアとして早く成長できるのです。
いま、国策として「日本の半導体産業を盛り上げよう」としており、熊本に台湾のTSMC、北海道にRapidus、新潟にJSファンダリなど、各地に半導体製造工場が設けられています。そうした工場や、関連産業に携わる人材のニーズは高まる一方。若手エンジニアにとって、キャリアアップの大きなチャンスが訪れています。
このチャンスを掴むには、まずは技術の土台となる知識を基礎からしっかり学ぶことが大事です。OSTechの「半導体大学校」では、その基礎を学べる環境を提供しています。ぜひ、研修にチャレンジして、エンジニアとしての成功の手がかりが見つけてほしいですね。
「SEMICON2024」
半導体関連では日本最大級のイベントです。主催する国際半導体製造装置材料協会(SEMI)』は、半導体製造に関わる装置・材料・各種サービスを提供する全世界の3,000社以上の企業と、150万人もの専門家が加盟している組織。そのSEMIが業界の発展と技術革新への貢献を目指して、世界各国でSEMICONを開催しており、『SEMICON JAPAN 2024』はその日本版・今年度版という位置付けです。
12月11日から3日間にわたり、東京ビッグサイトで100を超える企業・団体の展示や、半導体関連技術の第一人者による数多くのセミナーが行われます。来場には、事前登録が必要です。
OSTech講師渥美さんの講義は有料ですが、特別ゲストによる講演会や特別企画など、無料のセミナーも予定されています。興味のある方はSEMICON2024のサイトをご確認ください。