Blog

|

2022.03.28

【研修講師座談会】 ベテランが現場で培ってきた知恵を、 若手エンジニアへ惜しみなく伝えます

PROFILE

  • 内川 誠(人材戦略本部 技術管理部/係長)
    組み込みソフトウェア講座担当

  • 矢尾 晋平(人材戦略本部 技術管理部/主任)
    電気・電子回路講座担当

  • 関野 順二(人材戦略本部 技術管理部)
    機械講座担当

2万名を超えるエンジニアが在籍し、その多くが若手であるアウトソーシングテクノロジー。現場で活躍しているエンジニアの「もっとスキルアップしたい!」という意欲に応えるため、現在、研修体制の拡充を推進している。そこで今回は、実際に研修の講師を務めているベテランエンジニア3名による座談会を企画。講義を通じて、若手エンジニアに伝えたいことを、それぞれのキャリアを交えながら、語り合ってもらった。(オンラインで取材したため、一部画像が荒い部分があります)

資格取得に直結する講座もあります

最初に、それぞれが担当している講座の内容を教えてください。

内川 私の担当は組み込みソフトウェアです。現在は、新卒の方や未経験で中途入社された若手向けの講座が主。スマホアプリや業務システムといったものに比べて、組み込みソフトウェアは、あまり知られていない領域なので、「実はスマホにも自動車にも入っていて、それらの機器を動かしているんですよ!」という、基礎的なところから講義。そして技術の概要までを、8時間程度で解説しています。

また、「組み込みソフトウェア分野は、どのような業界であり、どのようなエンジニアが活躍しているのか」といったことを2時間でお話しする、業界トレンド講座もあります。どちらも、今は座学だけになってしまっているので、今後は何か機器を使い、実際に組み込みソフトウェアを作ってみるような講座をやっていきます。

矢尾 私は電気・電子分野を担当しています。内川さんと同じく、新卒や未経験の中途入社の方向けに、電気理論の基礎である「直流・交流回路の性質」や、「コンデンサやコイルなどの電子部品の役割」などを解説。1日8時間程度の講座で、新卒の方は5日間、中途入社の方は3日間ほど受けてもらっていますね。

また、「高専や大学で電気・電子を学んでいました」とか「電気・電子分野の技術を必要とする現場で働いていました」といった、中級者向けの講座も開講しています。主な内容は、今、さまざまな機器で使われている「インバータ回路」についての講義や、コンピュータの基礎となる「ロジックIC」についての講義など。今後は、ハードウェアの回路設計をしてもらい、実際に動かしてもらうような講座も行っていきたいですね。

関野 私の担当は、機械の講座です。機械製図の基礎や、多種多様な機械部品の役割について、さらには工具類や加工機の使い方なども解説しています。ほかに専門的な講座では、ロボットを教材にしたものもありますし、「テーマパークの乗り物を保守する現場に携わるエンジニア向けの研修」といった、実践的なものも。

さらに、「機械設計技術者試験」、「危険物乙4」、「第二種電気工事士」などの資格取得を目指した研修も行っています。初心者向けから中級者向け、特定の現場に携わる方向けなど、受講対象は多岐にわたっています。受講日程は、テーマや対象者によって異なりますが、機械製図の基礎を例にすると、3~5日間ほどですね。

若手エンジニアのスキルアップに役立ちそうな講座ばかりですね。では次に、みなさんご自身は、どのようにスキルアップを図り、講師を務めるまでになったのか、それぞれのキャリア・ヒストリーを聞かせてください。

内川 私がソフトウェアに興味を持ったきっかけからお話しすると、高校受験の合格祝いで両親からパソコンを買ってもらったこと。そこからパソコン操作にハマって。大学時代、専門雑誌に自作のプログラミングを投稿していました。そして、大学の研究室でロボットの“眼”に当たる部分の担当になったことが、転機になりました。カメラからの映像データを認識して、ロボットが対象物をハンドリングする、といった制御系に携わったのです。そこで「モノを動かす」組み込みソフトウェアの開発に興味を持ちました。

そこで大学卒業後、電機メーカーのグループ会社であるソフトウェア会社に就職。NC工作機械のコントローラーの組み込みソフトウェアやその周辺ツールのソフトウェア開発に携わりました。工場へ行って、自分が開発したソフトウェアによって、実際に機械が動いているのを見るのがやりがいでしたね。ただ、入社から30年以上経って、「今までの経験で培ってきたものを、若いエンジニアに伝えていきたい」という想いが強くなってきて。OSTechが研修講師の募集をしているのを見つけて、応募。2021年に入社した、という経歴です。

矢尾 私の場合、父親が製造業で仕事をしていた影響が大きかったですね。中学生のころからモノ作りが好きで、特にテレビやステレオなどが「どういう仕組みで動いているんだろう?」と。そうしたことから、電子工学系の工業高校へ進学。卒業後に、大手総合エレクトロニクスメーカーに入社し、工場でプラズマディスプレイの制御回路を設計する仕事に携わりました。ここで、トランジスタを使ったスイッチング回路などに10年ほど携わり、電気系の基礎を学びました。

その後、別の会社へ移り、コンバータ回路の設計などを経験。そして、「これまでに身につけた技術スキルを活かして、幅広い現場で活躍しよう」とOSTechへ転職。ところが、採用担当の方から「矢尾さん、ちょっと採用チームのメンバーに、電気・電子系のことをレクチャーしてもらえませんか?」と言われて。実際にやってみたら話がトントン拍子に進んで、研修講師を務めることになったのです。もともと、前職でも若手エンジニアとチームを組んで仕事をすることが多く、若い人達に何かを教えることは好きでしたしね。

関野 私も矢尾さんと同じく、家庭環境の影響が大きいですね。実家が農家だったので、耕運機・農業機械などが身近にあって。小さいころから機械に興味を持ち、中高ではバイクいじりに夢中になり、「エンジンを搭載した乗り物の設計をしてみたい!」と思うように。それで、理系の大学へ進み、卒業後は設計会社に就職。入社してからは、プラント配管の応力解析システムを使った解析、研究所などで扱う真空装置の設計などを経験しましたね。

それから、モノづくりを行っている会社に転職。工場で製造の仕事に携わりました。実際に機械加工装置を使ってのモノづくりも経験しましたが、品質管理や納期管理などを主に担当していました。そうした経験を経て、「若手エンジニアにこの経験を伝えて、キャリアアップの役に立つような仕事をしたい」と考えるように。ちょうどOSTechの研修講師の求人を見つけたので、応募したところ、採用してもらえたという経緯です。

現場へ行く直前に必要な知識を個人授業したことも

みなさん、今までに豊富な経験があり、それを講義に活かしていることが伺えますね。では、実際に研修講座の受講者からどんな反響があったか、聞かせてください。

内川 「わかりやすかった」と言っていただけるのが、一番、うれしいですね。初心者向けの講座を担当していますから。その一方では、「もっと専門性の高い講座を受けたい!」という声も。そうした要望に応えるためにも、今後はもっとバリエーションを増やさないといけないと感じています。

矢尾 「学校で理解できなかったことが、矢尾さんの講義で理解できました」と言っていただけたのが印象に残っていますね。電気・電子系の分野は、順序立てて理解していく必要がある。前段を飛ばして、途中から理解しようとしても無理。だから、ていねいに順序良く解説しているのが良かったのかもしれません。今学んでいる人も、つまずいたら前段に戻ってみてください。復習にもなるし、より理解が深まります。

ほかにも、「今度、オシロスコープを使う現場に携わることになったから、使い方を教えて欲しい」というエンジニアさんのリクエストを受けて、その人だけにレクチャーしたことがあって。受講した人から「業務で大変役に立ちました!」と。タイミングが合わないと個人授業はなかなか難しいですが、今後は、こういったリクエストに、もっと応えていきたいですね。

関野 私の場合、資格試験の講座を担当しているので、やはり合格報告をもらうとうれしいですね。先日も、20代のエンジニアの方から「1年かけて合格できました! 頑張った甲斐がありました!」と。うれしくてビールで祝杯をあげましたよ(笑)。何度か想定問題集をもとに解き方を説明しましたし、本人が努力する姿を見ていましたから。

また、実践的な講座は「業務ですぐに役立った!」という反響があります。特にスパナやレンチなどの使い方の講座をした後は、そういう声が多かった。それらの工具類は一見すると、取り扱いが簡単なように見えますが、それぞれの作業で正しい工具を使えていないと事故につながることもあるし、使用後のメンテナンスも必要です。そういったエンジニアとしての基本的な知識を実務に生かしてもらえると、講師として励みになりますね。

「この数値はおかしい!」と気付ける知恵を伝授

若手エンジニアのうれしい声がたくさん届いているのですね! では最後に、そうした反響を得るために、みなさんが講義を行う上で、大事にしていることを教えてください。

内川 エンジニアとして自分が悩んだ経験に基づいて話すように心掛けています。例えば、プログラミングをするとき、上から下へ順番に流れていくようにつくる。その途中に、別の処理をするためのコードが割り込むと、そこでバグが起こりやすくなります。そうしたバグ事例を、実際に私自身が経験したことも含めて紹介することで、ミスを防ぐノウハウをひとつでも持ち帰っていただけるよう講義を行っています。

そうして、関野さんや矢尾さんのように、未経験のエンジニアが最初の一歩をスムーズに進み出せるように、サポートしていきたいと考えています。

矢尾 「数字に妥当性があるのか」を読み取る力を習得して欲しいと伝えています。間違った数字が出てきたときに、「いや、この計測値がこの数字になるのはおかしい」と気付けるように、「この範囲内に収まるのが普通」「この桁の数字になるのが当たり前」といった、“アベレージの数値”をしっかりと伝えるように心掛けています。

関野 「いつもより、ちょっとだけ頑張る」「努力すれば必ず報われます」「自分を変える・変えられるのは自分である」の3つを意識して欲しいと伝えています。焦らずに、しっかりと基本を身につけながら一歩ずつ進んでいけば、自ずと高度な仕事ができるまでに成長できるはずですから。

みなさん、本日はありがとうございました! 引き続き、若手エンジニアの方々のスキルアップにご尽力ください!

#Tag

関連記事

Read

【R&D】KENスクールをフル活用して「英語×IT」人財をめざす

Read

【SS】 OSTech独自開発のプロダクトで 建設業界のイノベーションに貢献

Read

【SS】教え、教えられるヒトのつながりが私を技術者として成長させてくれた