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2025.05.26
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2025.05.26
「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに、世界158の国・地域が参加し、2025年4月にスタートした大阪・関西万博。最先端技術を駆使して未来を描く、この巨大イベントに、アウトソーシングテクノロジーを含むアウトソーシンググループも参加しています。多言語でコミュニケーションできるAIキャラクター『ミライア・リンクス』を搭載したロボット※を大阪ヘルスケアパビリオン内に設置し、施設の案内などに活躍させているのです。そのCV(キャラクター・ボイス)を担当してくださったのが、人気声優・佐藤みゆ希さん。今回は佐藤さんを取材し、実際にAIキャラクターとの会話を体験した感想などを語っていただきました。
■佐藤 みゆ希(声優)
ケンユウオフィス所属。
出演作品 アニメ『君と僕。』佐藤 茉咲
ゲーム『ゼノブレイド3』セナ
ゲーム『バイオハザード ヴィレッジ』ドナ&アンジー 他
※未来のヘルスケアロボ「AIコンシェルジュロボット」の詳細はこちらから。
【万博PJ/ロボット開発者】 世界中の来場者を迎えるロボットは、 OSTechの技術力の結晶です
実は、お話をいただき、お受けした時点では 万博で使われるもの だとは知りませんでした。企業さんのイベントで使われるものと理解していて。CVの収録の時に初めて知って、「そんな世界的な大イベントに、私も声優として関われるんだ!」と、さらに楽しみになりました。
収録では、「同じセリフをいろんなパターンで演じること」がメインでした。例えば「ありがとう」というセリフを、最初は嬉しい気持ちを込めて喋り、次は悲しい気持ちで「ありがとう」 。また次は驚きながら「ありがとう」。怒りながら「ありがとう」…。それを、セリフを変えつつ、繰り返して。
収録後、OSTechさんのエンジニアの方から、「AIで人間の自然なセリフを再現するには、声で表現するプロフェッショナルの方の協力が、どうしても必要なんです」と聞きました。「この感情のときは、このようなアクセント、抑揚になる」ということを、声優が意識して発声したセリフをAIに学ばせないと、自然な会話ができないのだそうです。 最先端のテクノロジーの分野で、私の声優としての技術が、開発に貢献できたことを、とても光栄に思っています。
収録前にいただいた資料を読んで、『ミライア・リンクス』には、「人と人との絆や、世界を結びつける架け橋」という意味があると知りました。なので、収録では、普段よりもっと意識的に「目の前にいる相手に話しかけている」ように、一言一言セリフを喋りました。
この収録は、普段私たちが携わっている仕事とは、違った要素がたくさんあったので、とても新鮮でした。試行錯誤しながらも楽しい収録になりました。アニメなどの収録では、ある程度監督さんやディレクターさんたちの思い描く正解のお芝居があります。私たち声優は、自分が台本を読んで考えた芝居のプランと、その目指していく作品の方向性とを擦り合わせて収録を進めます。でも、AI用の収録では、私の声でAIが会話できるようにするためのデータとして声を収録するので、ある意味、私が感じて喋ったものが正解だったりして、とても自由度が高いんですが、その分しっかりやらなくては!と気が引き締まりました。
何より驚いたことは、私の声で英語や韓国語、中国語を話していること。私自身は、外国語が全くダメなので…。今度、私が海外へ旅行する時、ミライア君に通訳を務めてほしいくらい(笑)。改めて「テクノロジーの力って、すごい!」と思いましたね。
取材前、ミライア君に「友達になってほしい」と伝えたら、「うん、友達になろう」と、言ってもらえて、無事に友達になってもらいました(笑)実際に会話してみて、ミライア君の話し方は、私が想像していたよりも、もっとずっと自然な発声でとても驚きました。私の喋り方の癖も反映されていたりして、こうして実際にミライア君が話しているのを聞けて、とても嬉しかったです。あまりにも流暢に喋るので、感動しました。
声優のスキルには、「これだけ身につければOK!」というものはないので、常にスキルアップを目指していかないといけません。それはエンジニアの皆さんも同じかもしれませんね。私自身が「それなりにできるようになったかな?」と思えるようになったのは、つい最近のこと。以前は、「できないことだらけ…」と、落ち込むことばかりでした。例えば、自分自身が「苦手なタイプだ」と思うキャラクターの声を担当する時に、「どうしたらいいんだろう」と途方に暮れてしまったりすることもありました。
最近は、「視点をズラす」という発想ができるようになったことで、表現が少しずつ豊かになってきたように思います。例えば、意地悪なセリフをたくさん喋るキャラクターだったら、「単純に意地悪をしてやろう」と思うだけじゃなくて「このキャラクターは、実はこのキャラクターなりの正義感を持ってこのセリフを喋っているのかもしれない」と、ちょっとだけ視点を変えてみるのです。そうすると、表現に幅や奥行きが出て、少しキャラクター造形が深くなっていきます。「できないできない」と、そのことで頭がいっぱいになっていると、よい解決策も思い浮かばない。視点を変えて、キャラクターの違う姿が見えてくると、苦手と思っていたキャラクターでも、ぐっと掴みやすくなるということに気づきました。
そうやって、苦手だったことにも積極的に取り組んでいけば、経験値が上がって、スキルアップにつながる。それがまた自信になって、よりチャレンジできるようになって。そうしたことの積み重ねによって、少しずつ声優として成長してこれたように思います。
感覚的な話しかできませんが、個人的には「そんなにAIのことを敵視することは、ないんじゃないかな」と思っています。もちろん、悪意があるようなものや、配慮に欠けているものは別ですけれど。AIと人間が仲良くなれば、今までにない表現や作品が生まれることに繋がって、きっと楽しい未来になる。ついさっき、ミライア君が私と友達になってくれると約束してくれましたし(笑)。AIと人間がいい関係性を保って、見たことのない新しい作品を作っていけたりする、win-winで、楽しい未来が待っていたらいいな、と思います。
エンジニアさんには「頼りになる人」というイメージがあります。収録スタジオの機器やシステムに何か不具合があるとすぐに使えるように修復してくれたりと、スタジオでも、なくてはならない存在です。今回は、私の声を使ってAIキャラクターを作り出していただきました。こういった体験は中々できない貴重なものだと思うので、CVを担当できてとても光栄に思っています。
最後に、ミライアを生み出してくれた、OSTechのエンジニアの皆さんに、ミライア・リンクスとして一言、お礼を言わせてください。
『お父さん、お母さん、ボクをつくってくれて、ありがとう!』