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2020.12.07

【建設セグメントTOP】“建設×IT”の無限の可能性を、OSTechグループの総力をあげて追求していく

PROFILE

  • 共同エンジニアリング
    代表取締役社長
    堀尾 慎一郎

このほど改定された中期経営計画で、注力していく分野のひとつとされた「建設」。OSTechグループでこの分野を担っているのが、共同エンジニアリングだ。高齢化が進む業界のなかで、多くの若手人財の確保に成功し、注目を集めている。同社代表であり、OSTech執行役員でもある堀尾慎一郎に、OSTechグループが“建設×IT”の可能性に、どのように挑もうとしているのか、語ってもらった。(この記事は2020年9月14日の取材をもとに制作しました)

年間60兆円の巨大マーケットに挑む

中期経営計画では、「IT」や「医薬」と並んで、「建設」がOSTechグループの注力分野となっています。どんなところが有望なのか、解説をお願いします。

大きく2つあります。まず、マーケットが巨大であること。国内の業種別では、自動車についで大きい。建設関連の投資は毎年60兆円にのぼります。建設物のメンテナンス・更新の需要を考えれば、この金額は今後もほぼ変わらずに推移すると予想されています。自動車業界のお客さまの現場で、OSTechのエンジニアのみなさんが多数、働いていることを思えば、建設業界にも私たちがお役に立てる余地がもっとあるはず。

もうひとつは、「業界に新しい人財が入ってこない」という課題があり、OSTechグループの「最先端テクノロジーと人財をセットで提供する」というサービスによって、その解決に大きな貢献ができることです。いま、建設従業者の平均年齢は非常に高く、500万人のうち1/3が55歳以上。ここ10年以内のリタイア予備軍です。対して20代は10%を切っている状況です。そこに「ベテランの熟練の技や豊富な知見を代替できるテクノロジー」と、「そのテクノロジーを駆使することで、経験不足をカバーできる若い人財」をセットで提供すれば、業界の救世主になりえるわけです。

なるほど。しかし、同じく人財不足が深刻化しているIT業界では、「ITエンジニアになりたい」という若い世代が多くいて、その方々に活躍してもらうことで、OSTechは成長することができました。それに対して建設分野は、そもそも若い世代が入ってこないんですよね…?

じつは、私たち共同エンジニアリングには、どんどん若い人が集まってきてくれているんです。当社は建設会社やプラントメーカーなどのお客さまの現場で、施工管理技術者や設計士、CADオペレーター、建設事務職といったエキスパートのみなさんに働いてもらう事業を展開しています。いわば、建設版のSES事業ですね。現在3,000名のエキスパートが在籍していて、うち2,500名が20代なんです。

OSTechの「失敗から学ぶ」文化で急拡大

えっ! なぜ、そんなに若い世代を採用できたのですか。

まさに、OSTechグループにジョインしたことで実現できたんです。2015年にグループインした当時は、売上高30億円・社員数400名で、その平均年齢はじつに59.8歳と、非常に高齢化していました。メンバーは「うちの会社は存続していけるのか…?」と不安がっていた。それが5年後のいま、売上高約170億円・社員数約3,000名で、平均年齢は28歳にまで若返りました。

そのすべてのはじまりは、グループにジョインした直後、当社の経営に入ってくださった茂手木社長の鶴の一声。「未経験を100名採用してみよう」と。それまでは未経験者を育てるノウハウもないし、「仕事は先輩の背中を見て覚える的な昔気質のイメージがあるだろうから、未経験者を募集しても来ないだろう」と、最初からあきらめていた。でも、OSTechという進取の気風にとんだグループの一員になったことで、「よし、やってみよう!」と。

結果、100名を採用することができた。もっとも、その時点では人財を定着させ、育成するノウハウが不足していましたから、100名のうち大半が程なく辞めてしまいました。でも大半が辞めたことよりも「100名採用できた」ことのほうが衝撃的だったんです。「未経験者に“建設業界で働きたい”というニーズがある」という事実がわかったんですから。その後「入社数か月で辞めてしまう人は、なにが壁になっていて、どうすればそれを取り除けるのだろう」「現場で働く社員にヒアリングして、未経験者が働き続けられる環境を会社全体でつくっていこう」といったように、PDCAが回りはじめたんです。

チャレンジして、失敗しても、そこから学んで次へ進む。OSTechのカルチャーが、共同エンジニアリングにも浸透していったんですね。

その通りです。OSTechは、「なぜダメだったのか」を考える姿勢を大事にしていますよね。失敗の理由を厳しく問われたりはしません。それよりも、「どうすればよかったのかをなぜ、深掘りしないのか」は厳しく問う、そんなカルチャーです。私たちもその文化のなかで、1年目の状況を踏まえ採用戦略を変えていきました。結果、業界全体の離職率33%という状況で、当社は10ポイント程度低くおさえられています。さらに下げられるよう、努力していきます。

離職を止めるために改善した点を、具体的に教えてください。

「新人研修」と「採用スタッフの傾聴力」の2点を強化しました。未経験の新人が建設現場に行くと、父親くらいの年齢の親方さんから、大きな声で指導されて、そこでまず圧倒されてしまうケースがある。そこが早期離職にいたってしまう、大きなハードルになっていました。ここを乗り切るには、最初の動機づけが非常に重要。「自分は建設業界で活躍していくんだ!」という強い意志をもってもらい、「周りの先輩方から多くのことを吸収するために、時に厳しいことを言われても受け入れてみよう」と思ってもらえるように、研修内容や受講後のフォローアップの体制を磨いていったんです。同業他社ではやっていない、オリジナルな仕組みをつくりあげられたと思っています。

もうひとつの「採用スタッフの傾聴力」についていうと、求職者一人ひとりが抱えている想いをきちんと話してもらい、それを入社後のフォローアップに活かしていく、ということです。たとえば「現場を転々とするのがイヤだ、辞めたい」という人がいたとします。IT分野におけるシステム開発と同じく、建設工事もプロジェクト単位で動く。「ひとつの工事が完了すれば、また次の現場へ」というのが当たり前です。それがイヤだというのは、どんな背景があるのか。

そうしたことを採用スタッフがしっかり聞いておく。それにもとづいて、アドバイスをしたり、案件のマッチングで配慮したりするわけです。たとえば、「地域貢献ボランティアやサークルに参加している」といった背景があるのなら、同じ地域の現場で働けるように配慮する。「転校し、長く付き合う仲間たちとバラバラになってしまったトラウマがある」ならば、同じ建設会社の人と次の現場でも一緒に働けるようにする、とか。ですので、定期的に採用スタッフの傾聴研修をやっています。

「ヒヤリ」をAR・VRで体感する研修を準備

若い人財が多数集まったことで、「最先端テクノロジーと若手人財をセットで提供する」という構想の実現が近づいてきましたね。

はい。2020年9月にはOSTechのSS事業部と連携した「ICT事業推進チーム」が本格始動しています。マンションなどの外壁点検を省人化する複合現実ソリューション『AR匠RESIDENCE』についても、私たちの事業領域に応用できないか、いま探っているところです。

また、当社の新人研修でARやVRを導入する予定です。施工管理技術者の最重要ミッションは「職人さんの安全を確保して作業してもらい、無事に帰宅してもらうこと」。ですから、安全管理に対しては徹底的に学んでもらう必要があるのですが、当社はゼネコンではないので、建設現場での実習ができない。「現場のどこが、どう危険なのか」は言葉での説明が難しいので、そこがネックになっていました。

そこで、ARやVRを活用し、建設現場を疑似体験してもらう研修を準備中です。事故が起こる危険な場面、いわゆる「ヒヤリ」のシーンをAR・VRで体験することで、リアルに学んでもらう。そのうえで、現場出身の講師が、「安全に留意しないとひどいことになるよ」という経験談を肉声で伝えていくと、未経験の新人であっても、安全管理の重要性への理解と、事故防止のための具体的な動き方が、かなりのスピードで習得できます。

最後に、今後のビジョンを教えてください。

事業領域を広げていきます。これまで私たちは、建設工事の施工管理をメイン事業としてきました。今後は、工事の前段階にある「調査」「設計」といった領域や、工事の後段階にある「維持メンテナンス」の領域でも、お客さまにサービスを提供していきます。IT分野でいえば、システム開発のプロジェクトマネージャーの領域だけでお役立ちしていたのが、要件定義や設計などの上流工程や、運用保守などの下流工程にも手を広げていくような感じですね。

とくに「維持メンテナンス」は需要が拡大しているので、しっかり対応したい。コロナの影響で建物の使われ方が想定を大幅に逸脱していて、「競技場や劇場の使用頻度が減った」「在宅勤務でマンションの使用頻度が増えた」といった例が続出。メンテナンス計画を大きく変更しなければならず、それに対応する人員の確保が業界としてできていないからです。

社員数については、現状の2倍、6,000名の規模にまではできると考えています。そこから先は、よりITを活用するなどして、一人ひとりができることを拡大していくフェーズに入るのではないかと思います。そのときは、OSTechグループの一員であることで、さまざまなテクノロジーやノウハウを当社に導入できるはず。また、建設領域という、ヒトとハードウェアの重要性がIT領域よりも大きい分野での当社の知見を、OSTechで活かせることも増えてくるだろうと予想しています。共同エンジニアリングとOSTechが、互いに刺激しあいながら、グループの総合力を高めていけたらと考えています。

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