Career Story
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2021.05.17
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2021.05.17
津村 直史(SS事業本部 イノベーションプラットフォーム部 マネージングディレクター サービス&エンジニアリング)
入社:2018年/中途
趣味:キャンプ、ハック(なにかつくったり、効率化したり)
“最先端テクノロジーをいち早く日本のお客さまに届ける”。それが、イノベーションプラットフォーム部の津村直史が手がける仕事だ。あるときは英国企業が開発したダークウェブ調査のセキュリティ対策ツールを日本市場に展開。またあるときはドイツ企業がつくったウェアラブルARサービスを日本企業に導入。高度な技術スキルはもちろん、ビジネスのセンスやメーカーとのコミュニケーションによる関係性の構築力も不可欠な仕事だ。そんな難易度の高い業務に携われるようになるまで、津村はどんなキャリアを歩んで来たのか。本人に語ってもらった。
私がアウトソーシングテクノロジーで手がけているのは、まだあまり知られていない海外の最先端テクノロジーを、日本国内で市場を開拓する仕事。たとえば、2018年にイギリスで見つけたセキュリティ強化のためのクラウドサービス。これは自社の機密情報などがインターネットやダークウェブ上に流出していないかどうかがわかるんです。
実際のところ、かなり多くの企業で、知らない間に情報が流出してしまっている可能性が高いと思います。社員が外部のITサービスを利用する際、ネットにアクセスするなかで情報が流出してしまうケースが多いんです。また、自社のソースコードを外注先のエンジニアが流出してしまうケースも増えています。でも、自社で使うあらゆるITサービスや開発を内製化するわけにはいかないので、防止するのは困難。そこで、まずはネット上に自社の情報が流出していないか、サービスでチェック。情報の流出があれば、その内容から、どこから流出したか、見当がつきます。それをもとに対策をとればいいわけです。
このクラウドサービスはイギリスのIT企業が開発したもの。当時は日本になかったテクノロジーで、可能性は大きいと判断。先方と交渉のすえ、OSTechが日本での総販売代理店となる契約を結びました。いま、コロナの影響によってテレワークが普及。また、ソースコードを外部に保存するインシデントも多発しています。それにともなって、情報漏洩リスクも高まっており、このサービスの拡販に追い風が吹いています。さらに普及させていきたいですね。
もうひとつ、スマートグラスを使ったARソリューションの事例を紹介しましょう。製造業や建設業などの現場ではたらく方が、専用のスマートグラスを装着して作業。なにか問題にぶつかったとき、離れた場所にあるサポート部門に連絡すると、サポートメンバーはスマートグラスを通して、現場の作業者が見ているのと同じ光景を見ながら、指示や助言をすることができます。また、現場から離れた場所にいる熟練のベテランひとりが、複数の経験の浅い作業員を同時に指導するような、教育ツールとして使うこともできます。
ドイツの企業が開発したサービスですが、私が最初に出会ったのはアメリカでのテクノロジー企業の現地調査の場。ひとめ見て、「これは、よく練られた製品デザインで、完成度も高く、OSTechの事業と相性がいいはずだ」という直感がありました。OSTechグループには、メーカーや建設会社のお客さまが多い。たくさんのOSTechのメンバーが製造や建設の現場で働いています。その知見をもとにOSTechのエンジニアがカスタマイズをしてソリューションを提供するイメージをすぐに描くことができましたね。
とくに、現場で実際に役立つ機能がよく考えて実装されていることに感心しました。というのも、似たようなソリューションはほかにもあるんですが、やたらに経営者だけが好きそうな機能を搭載していたり、見た目だけが良いデザインになっていたりして、現場で作業する方々にとって、使いにくいモノになっていることが多いんです。現場の方々に使ってもらえず、導入に失敗した中身の無い最先端ツールの例は本当に多い。その点、このソリューションなら大丈夫。そう確信して、サービスの提供企業と契約を締結。OSTechがこのテクノロジーでいち早くウェアラブルAR市場に参入できました。
このような仕事に携わるには、テクノロジーの検証やサービスの設計をできる高度な技術力だけでなく、プロダクトやサービスの価値を判断するビジネスセンス、テクノロジーを保有するメーカーや代理店との信頼性を構築する力が必要です。その点、私はOSTechにジョインする前から、そうしたスキルを身につけられるキャリアを歩んできました。そして、OSTech入社後、そのスキルを大きく開花させることができたんです。
大学時代は電気工学を専攻。新卒で就職したのは大手外資系メーカーで、研究職として従事し、システムがダウンしたら勝手に元に戻ったり、問題があったときに原因を自分で特定したりする「自律コンピュータ」の研究に没頭していました。その後は、ソフトウェアの開発部門へ異動し、さらにプリセールスエンジニア部門へ。そのころに、キャリアの転機が訪れました。「開発者と顧客との間には深いミゾがある」と気づいたことがきっかけです。
もともと研究職だったので、「こんなことができる」というアイデアは豊富にある。でも、それと「顧客が本当に実現したいこと」や「たくさんの顧客に使ってもらえること」とが結びついていないんです。顧客と私たちエンジニアとは、まるで違う言語で話しているかのようで、なかなかうまくコミュニケーションがはかれていない現実がありました。「そのミゾを埋めて、顧客の課題解決に真に役立つことを自分の仕事にしよう」と決意。11年間、勤めた大企業を辞め、ITベンチャーに挑戦することにしたんです。
最初は米国系、次にイスラエル系の会社で、プロダクトのマーケティングからエバンジェリスト、プロダクトのマネジメントをする仕事に就きました。生粋のエンジニアというよりは、マーケティングやセールスの割合も多い仕事でしたが、「テクノロジーがどのように価値を生み出すか」を学んだことは大きかったですね。
そんななか、OSTechと出会った。当時から、「多くのエンジニアに、最先端テクノロジーの製品とスキルという高い付加価値をつけてもらって、現場で活躍してもらう」という構想があった。それを実現するには、OSTechのエンジニアが世界中の最先端テクノロジーをとりあつかえることが不可欠。その担当者として、私に白羽の矢を立てていただいた。私自身、「数多くのエンジニアが在籍する企業の変革推進に貢献し、先進技術で現場の課題の解決に役立てる」仕事に大きな意義を感じて、OSTechにジョインすることを決めました。
いまは、最先端テクノロジーをOSTechのお客さまに導入し、お客さまのDXを支援する業務にも携わっています。たとえば、大手メーカーの物流現場に、スマートグラスのARソリューションを導入し、物流全体の業務を変革するプロジェクト。現場は全国にあるので、それぞれの担当者とコミュニケーションをはかり、新技術でどう変わるのかを、お客さまの言葉でわかりやすくディスカッションし、「DXによって現場がハッピーになる」そんな新しい働き方を、お客さまと一緒に作り出せるよう努めています。
DX支援の仕事はこれからどんどん増えてくるので、OSTechのエンジニアがそれに携わる機会も増えてくるはず。お客さまの業務を理解し、最適なテクノロジーを選び、これから開発するプログラムを想像してソリューションを設計する、高度な技術力が必要な仕事ですが、それだけでは足りない。かかわる社内外のすべての方々と円滑にコミュニケーションをはかり、テクノロジーの価値を納得してもらえるだけのコミュニケーション力が不可欠。「高度な技術力+高いコミュニケーション力」。DX推進にはITテクノロジーの深い理解が必須であり、営業やコンサルタントにはできない、エンジニアの真価が問われる仕事だと思います。
私はキャンプが好きで、自然に触れながら外の空気を吸って、頭を切り替えています。ただ、空き時間を見つけると新しい技術関連の本を読んだり、わからないことを調べたり、プログラム(Java、Python、Swiftなど)を書いたりするようにしていますね。仕事に役立てるというよりは好奇心や探究心から、という面が大きいかもしれません。最終的にはエンジニアとしての市場価値アップにつながるとは思いますが、どちらかというとゲームをしているというか、RPGを攻略するのを楽しむ感じでしょうか。でも、こうした好奇心がないとエンジニアは成長がストップしてしまうように感じています。
そうですね…。どんな分野でもいいのですが、「エンジニアとしてほかの人には負けない!」というスキルを1つ身につけることを目標に仕事してほしいですね。1つ極めれば、周辺のよくわからない領域が見えるようになる。見えてきたもののなかから、また「これを調べてみよう!」と選択する。IT技術の場合、本質は同じで、似ている技術ばかりです。そんなことを繰り返していけば、技術のキャッチアップするスピードも早くなり、いずれは高い技術力をもつエンジニアへと成長できます。そこにコミュニケーション能力をプラスすることができれば、向かうところ敵なしですね。
仕事のなかで、自分が興味をもてることを探すようにするのがいいかもしれません。私が経験してきたことをお伝えすると、自己成長するには、自分の仕事のなかに、自分からおもしろさを見つけだすことが重要。たとえば、「つまらない」と感じる会議に参加したとき、その感想で終わらせるのではなく、エンジニアだったら「なぜつまらなかったか」を考察し、「おもしろくするためにはどうすべきか」を考えてみるべき。問題や解決のアイデアを構造化してみるといいですね。そして、現場の誰かにそのアイデアを話してみると、実際にやってみようと動き出したり。そうすることで、仕事がおもしろくなってくることは、けっこうあると思いますよ。